トスカニーニvsフルトヴェングラー ロッシーニ 歌劇「泥棒かささぎ」序曲

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こんにちは、
ともやんです。

普段はわざわざ聴こうとは思わない作曲家にジョアッキーノ・ロッシーニ(1792-1968)がいます。

ベートーヴェンよりも22歳年下ですが、ロッシーニが活躍していた19世紀初頭の大作曲家と言えばベートーヴェンでした。

ベートーヴェンも歌劇「フィデリオ」を作曲しましたが、1834年に出版された音楽史には、「オペラ作曲家」ロッシーニ、「器楽作曲家」ベートーヴェンと並べられていて、イタリア的、ドイツ的という対比でもあったようです。

そんなロッシーニの通俗的な名曲歌劇「泥棒かささぎ」序曲が、村上春樹の小説に登場します。そこでせっかくなのでいくつか気になる録音を聴き比べてみました。

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村上春樹と歌劇泥棒かささぎ序曲

ロッシーニの歌劇「泥棒かささぎ」は、本編自体は、忘れられた作品となっています。
ストーリーは、かささぎの悪戯に翻弄される人びとを描く、最後は、偶然の力ですべてが解決し、めでたしめでたしの結末を迎えるもの。

本編は忘れられた存在でも序曲は有名で、多くの指揮者が取り上げていて、あのフルトヴェングラーも初期の頃録音しています。

歌劇「泥棒かささぎ」序曲は、スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」での、悪ガキたちの乱闘シーンに使われている印象的な曲で、普段クラシック音楽を聴かない人でも耳にしたことがあるとあると思います。

村上作品では、『ねじまき鳥クロニクル』で使われています。
相も変わらず、僕はこの作品を読んでいません。
村上春樹の作品と音楽の関係を論じた『村上春樹の100曲』と自らの音楽の思いと100作品を選曲してそれぞれに4~5枚のレコードを紹介するという新刊本『古くて素敵なクラシック・レコードたち』でも取り上げている村上氏お気に入りの曲です。

小説の冒頭、パスタを茹でながら「僕」は、ラジオから流れてくるこの曲に合わせて口笛を吹いていました。
そんなことをしていると異界から奇妙な電話を受け取ることから物語が展開していきます。

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歌劇「泥棒かささぎ」序曲 トスカニーニvsフルトヴェングラー

さて、村上氏の新刊本『古くて素敵なクラシック・レコードたち』では、アバドの新旧2枚とライナー、セル、ビーチャム、マルケヴィッチ盤を紹介しています。

僕は、アバドのロンドン響との旧盤、ヨーロッパ室内管との新盤、トスカニーニ、フルトヴェングラー、そしてカラヤンで聴きました。

まず、演奏の内容と音質を考えれば、アバドの旧盤が一番のおすすめ。
もちろんアバドの新盤もいいですが、旧盤の方が、新鮮な魅力に溢れています。
『村上春樹の100曲』でも、アバドの旧盤を薦めています。

トスカニーニとカラヤンは、それぞれの持ち味を出した名演で、特にトスカニーニは、次に上げるフルトヴェングラーと対比する快刀乱麻の名演。ただ音質はモノラルでデッドなので承知の上で聴いてください。

カラヤンは、無難でそつのない演奏で、カラヤンが好きならどうぞ。

そして、フルトヴェングラー。
SP時代の1930年の録音ですが、これが凄い演奏。結局、フルトヴェングラー唯一の録音ですが、まさにこの10分弱の小曲もフルトヴェングラーは、まるでベートーヴェン、ブラームスの交響曲を演奏するのと同様に全身全霊を傾けた凄演です。

今回聴いた5つの録音の中では、演奏では断トツのトップでした。

以下、宇野功芳著『フルトヴェングラーの全名演名盤』から宇野さんの名調子を引用します。

“導入部のいささか皮相な曲想が”祭典”にまで高められ、主部のダイナミックスが津波のような圧倒感と輝かしさを持ち、しかもほんの僅かな人工性を見せない実力を何と評価しよう。
中略
それにしてもコーダの加速は素晴らしい。ひたひたと押し寄せてくる興奮は異常なほどだが、決して羽目をはずすことなく、聴く者の魂は比類なく高まられてしまう。これぞ音楽芸術の最高の恩恵でなくて何であろう”

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ロッシーニ 歌劇「泥棒かささぎ」序曲 トスカニーニvsフルトヴェングラー

ジョアッキーノ・ロッシーニ – Gioachino Rossini (1792-1868)
歌劇「泥棒かささぎ」 – 序曲1.
La gazza ladra (The Thieving Magpie): Overture

NBC交響楽団 – NBC Symphony Orchestra
アルトゥーロ・トスカニーニ – Arturo Toscanini (指揮)

ロッシーニ オペラ序曲集 アルトゥーロ・トスカニーニ NBC交響楽団

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ジョアッキーノ・ロッシーニ – Gioachino Rossini (1792-1868)
歌劇「泥棒かささぎ」 – 序曲1.
La gazza ladra (The Thieving Magpie): Overture
total(09:08)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 1930

ポリドール録音集2(「こうもり」序曲、「セヴィリアの理髪師」序曲、他) ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

なお、フルトヴェングラー正規レコード用録音集大成(CD55枚組)の3枚目に収録されています。

フルトヴェングラー正規レコード用録音集大成<限定盤>

まとめ

トスカニーニとフルトヴェングラーの芸風は全く逆のように感じますが、フルトヴェングラーの40代の録音を聴くと意外と近いところもあるなって感じました。

逆にトスカニーニは、楽譜を正確に再現するという風に捕らえがちですが、39年のベートーヴェンを聴くと意外とテンポを動かしています。

ただ両者に共通するのは音楽に対する情熱です。

逆に二人の一番大きな違いは、憐みのこころというか繊細さというか、その辺の違いは一番感じますし、それは演奏からも感じます。

トスカニーニの颯爽と感覚は、フルトヴェングラーにはないし、フルトヴェングラーの暗さや内包する葛藤のようなものは、逆にトスカニーニから感じ難いです。

だからクラシックの同曲異演の聴き比べが止められないのですね。

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