こんにちは、
ともやんです。
フルトヴェングラーの熱烈なファンでもあり、ブルックナーに関しても一家言を持つ、音楽評論家、宇野功芳氏(1930-2016)は、その著書「フルトヴェングラーの全名演名盤」の中で、次のように書いています。
“フルトヴェングラーのブルックナーは、いずれも彼の人間的で生々しい体臭がムンムンするような、いわばベートーヴェン風な解釈であり、表現自体はまことに高い次元に属するが、演奏が良ければ良いほど音楽から遠ざかる、という矛盾をはらんでいる。”
また、宇野氏はブルックナーはあまりテンポを動かさない方が良い、ともどこかで書かれていました。
長らく宇野氏の信奉者だった僕は、そんなことでフルトヴェングラーのブルックナーをあまり聴いてこなかったのです。
しかし、僕も段々と宇野氏離れをなり、宇野氏の解釈は宇野氏のもので、参考にはするけど、つまるところ自分で聴いてどう感じるかという自分の感性を大事にするようになってきています。
フルトヴェングラー ブルックナー交響曲第5番
そんなことでフルトヴェングラーによるブルックナーを昨日から聴き込んでいます。
ブルックナーの交響曲第5番は、彼の交響曲の中でも硬派で重量級の曲です。
90年代に朝比奈さんの実演にも接した僕ですが、この曲に関してはなかなか馴染めなかったものです。
それはブルックナーの曲全体に言えるのですが、正直取っつきにくいのは確かです。
しかし、その中でも第4番、第7番は、旋律も憶えやすく親しみやすい面を持っています。
一方、第5番、8番、9番と言うところはある程度意志を持って聴いて行かないとなかなかその良さが分かりずらいです。
でも、一旦、その素晴らしが分かるようになると堪らない魅力となり、一生の宝ものになります。
本当にそんな心境になったのは、クラシック音楽接するようになって40年近くも経ってからのことです。
さて、フルトヴェングラーによるブルックナーの第5交響曲を聴きました。
録音は2種類あります。
1942年のベルリンフィルとのもの、1951年のウィーンフィルとのザルツブルク音楽祭でのライブ。
42年のベルリンフィル盤が、驚異的な音質の良さを誇っており、またフルトヴェングラーもまだ50代で、躍動的で瑞々しい演奏を聴かせてくれます。
一方、本日ご紹介する51年盤は、宇野氏は厳しいコメントをしています。
“ザルツブルク音楽祭のライヴだが、録音は前記1942年盤よりも悪く、フルトヴェングラーの棒もなぜか生煮えで、そうなると採るべきところがなくなってしまう。”
とひどい書きようなのです。
でも聴いてみました。
悪くありません。音質面では特に鑑賞に支障をきたすこともなく、むしろベルリンフィル盤が良すぎるのです。
演奏に関しては、イントロのものものしさから惹きつけられます。42年盤に比べれば、茫洋とした感じで、むしろブルックナー的なのはこちらかと思います。
だから、ベルリンフィル盤に抵抗を感じる人は、こちらに感銘を受けるかもしれません。
CDでは、ザルツブルク音楽祭でのライブ録音が収録されたセットが出ています。
ぜひ、聴いてみてください。
フルトヴェングラー&ウィーンフィル ブルックナー交響曲第5番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105
Symphony No. 5 in B-Flat Major, WAB 105
1.(20:00) I. Adagio – Allegro
2.(15:01) II. Adagio
3.(12:29) III. Scherzo: Molto vivace
4.(22:44) IV. Finale: Adagio – Allegro moderato
total(70:14)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音:1951年8月19日 ザルツブルク音楽祭でのライブ
ザルツブルク音楽祭ライヴ録音集1949-1954 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
“ザルツブルク音楽祭フルトヴェングラー・エディション”
※はORFEO からの初めての発売となるもの。CD-4
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調※
録音:1951年8月19日
★フルトヴェングラーらしい高カロリーのブルックナーとして人気がある演奏。
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※フルトヴェングラー&ウィーンフィルによる同じ音源の演奏は、フルトヴェングラー レガシーにも収録されています。
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Amazonでも取り扱いがありますが、高額のためおすすめはしませんが、一応ご案内します。
ちなみに僕は、新宿のディスクユニオンで数年前1万円少々で購入しました。
↓
フルトヴェングラー/ザ・レガシー(107CD)
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