こんにちは、
ともやんです。
昨日に続いて、もうすぐAltusからリリースされるフルトヴェングラーのSACDのレビューです。
えっ?なんで、まだリリースされていないSACDのレビューが出来るの?と思われると思いますが、同じ音源自体で既に何度も発売されています。
僕が聴いているのは、5年前に同じAltusからCD11枚組で発売された「アルトゥス・レーベル十五周年 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ライブ録音集」(限定生産)のものです。
この52年のブラームスの1番は、9種類残されているフルトヴェングラーの録音の中でも音質が一番良いものです。
フルトヴェングラー&ウィーンフィル ブラ1 残念
この52年1月27日のウィーンフィルとのブラームスの最高に魅力ある点は、ウィーンフィルの艶やかな弦の響きが聴かれることで、もっとも残念なのが、ティンパニの音がしっかり取られていないことです。
宇野功芳氏も著書「フルトヴェングラーの全名演名盤」の中で、ティンパニが鈍いのがこの盤最大の欠点と指摘しています。
聴いて行くと確かにティンパニーは奥に引き込んでいるようで、マイクの位置のせいと思いますが弦や木管の音に負けています。
この不満を解消してくれるのが、このウィーンフィルとの録音より約3ヵ月前に録音された北ドイツ放送響との録音で、こちらはティンパニがしっかり取られていて、迫力では完全にウィーンフィル盤に勝っています。一方弦の方は、質実剛健な響きで優美さではウィーンフィル盤には敵いません。
また、ウィーンフィル盤の約2週間後の52年2月10日のベルリンフィルとの放送録音盤は、ティンパニに関して、序奏部ではウィーンフィル盤と同様軽く叩かせているので、これはフルトヴェングラーの解釈だと思うし、もちろん決め所での強打はあるのですが、結局のところウィーンフィル盤は録音のせいということです。
フルトヴェングラーのブラームス交響曲第1番
ブラームスの交響曲では、この第1番が、もっともフルトヴェングラー向きだと思います。宇野功芳氏は、「フルトヴェングラーの全名演名盤」は、残念がら満足いく録音がないと書いていて強いてあげればこの52年1月のウィーンフィル盤としています。
僕のその意見に賛成です。
ティンパニ問題はありますが、第二楽章などウィーンフィルの美しさが際立った名演です。
ただ個人的には、質実剛健は51年10月の北ドイツ放送響を取りたいです。
というより、ぜひ、51年10月の北ドイツ放送響、そしてこの52年1月のウィーンフィル、翌月のベルリンフィル盤を合わせて聴いて欲しいです。
フルトヴェングラーの常の新たな気持ちで真摯に演奏に対している姿がわかります。
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第1番 ハ短調 Op. 68
Symphony No. 1 in C Minor, Op. 68
1.(14:17) I. Un poco sostenuto – Allegro
2.(10:11) II. Andante sostenuto
3.(05:04) III. Un poco allegretto e grazioso
4.(16:33) IV. Adagio – Allegro non troppo ma con brio
total(46:05)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音:1952年1月27日 ムジークフェライン大ホール
ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
フルトヴェングラー/ウィーン・フィル ORF戦後ライヴ大集成<完全限定生産盤>
ALTUSレーベル20周年記念企画。
連合国オーストリア進駐軍放送=赤白赤放送集団(ORF前身)が収録しウィーン・フィルのアーカイヴに保管されていた貴重なオリジナルマスターテープからCD化され、大きな話題をさらったフルトヴェングラーの名演を2020年最新リマスターでSACDシングルレイヤー化!53年の『第九』を始め、ついに真の姿を現したと言っても過言ではない素晴らしい音質に生まれ変わっており、フルトヴェングラー究極の至芸に打ちのめされること間違いなし。
ブラームスのドッペルで聴けるボスコフスキーとブラベッツのソロもウィーン・フィルならではの堪らぬ魅力にあふれています。
CD4枚分、251分もの内容を贅沢にも1枚のSACDに完全収録、ブックレットには既発CDの原稿を網羅して掲載。
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