こんにちは、
ともやんです。
フルトヴェングラーは、偉大な音楽家だったが、では人間性も素晴らしかったかというとちょっと首をかしげてします。
というのは、なんと言っても女性好き。まあこれはいいとしても優柔不断で嫉妬深く猜疑心が強い性格だったようだ。
またカラヤンほどビジネスセンスがあったわけではないし、危機意識や機を見るのに敏感だったわけではなく、むしろ疎かったと想像できます。
フルトヴェングラー 戦中最後のコンサート
フルトヴェングラーが戦中最後にベルリンフィルを振ったのが、1945年1月23日のこと。
この時点で、実はナチス政権はフルトヴェングラーに対し「禁止令」が出され、いつ逮捕されてもおかしくない状況だった。
もしゲシュタポに捕まったら命の保証はない。
しかし幸いにもウィーンでコンサートの予定があった。
そのため、ベルリンでコンサートが終わると列車に残り込みウィーンに向った。
ウィーンには、1月25日着いてウィーンフィルと戦中最後のコンサートを28日と29日に行った。
しかし、2月4日に再びベルリンでコンサートの予定がある。
戻るわけにはいかない。
そこで「転倒による脳震盪で絶対安静が必要でベルリンのコンサートは出演不可能」と電報を打った。
結局、フルトヴェングラーは、次の予定のスイスに2月7日に入り、そのまま亡命。
スイスでは予定されていたコンサートのいくつかをこなし、最後が2月23日だった。
フルトヴェングラー 戦後最初のコンサート
1945年4月30日ヒトラーがピストル自殺を遂げた。そして5月9日、ドイツ政府は連合国に対する降伏文書に署名。ここで終戦となった。
しかし、フルトヴェングラーは、ナチに協力した疑いで裁判に掛けられることになり、最終的には無罪となったが、終戦から約2年間演奏活動を禁止されてしまったのだ。
結局、フルトヴェングラーは1945年3月に無罪が確定したが、事務手続きが進まずなかなかベルリンでの復帰コンサートが出来なかった。そのためイタリアの招きでイタリアのオーケストラを指揮した。
だから、フルトヴェングラーが戦後最初に指揮したのが、ベルリンではなくローマでだった。
そしてベルリンでの最初のコンサートが1945年5月25日のことだった。
そして本日紹介するのが、ベルリン復帰コンサート3日目の1945年5月27日のもの。
フルトヴェングラー関係の本も書いている宇野功芳氏も、フルトヴェングラーの数多いCDから一番好きなものを挙げよ、と言われたらこの「第五」を選ぶと言っているくらい、壮絶で生々しい録音なのです。
フルトヴェングラー 名盤 交響曲第5番”運命” 1947
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
1.(07:42) I. Allegro con brio
2.(10:16) II. Andante con moto
3.(05:48) III. Allegro –
4.(08:19) IV. Allegro
total(32:05)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 27 May 1947, Berlin, Germany
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劇音楽「エグモント」 Op. 84 – 序曲
5.(08:32) Egmont, Op. 84: Overture
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」&「エグモント」序曲 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
制作者より
1960年代後半から1970年代前半にかけて、フルトヴェングラーのLPはドイツ・エレクトローラの”ブライトクランク”、そしてドイツ・グラモフォンの”ステレオ・トランスクリプション”と、疑似ステレオ盤がごく普通に売られていました。従って、この頃にフルトヴェングラーに親しんだ人たちは、疑似ステレオ盤をごく当たり前に聴いていたのです。フルトヴェングラーの”ステレオ・トランスクリプション”は国内では13枚組LPとして発売されましたが(のちに分売もあり)、ドイツ国内ではなぜかこのシリーズは全く発売されませんでした。ところがこのほど、未刊行のテスト・プレスを複数手に入れました。つまり、本国では番号を決め、テスト・プレスまで行われたのにもかかわらず、製品化はされなかったのです。
この”幻のテスト・プレス”復刻シリーズの第1弾は、もはや説明不要のベルリン復帰3日めのライヴです。制作者自身も含め、当時この音でフルトヴェングラーを聴いたファンには良き思い出の品となるかもしれません。
この疑似ステレオこそが本物のフルトヴェングラーの音に近いなどとは言いませんが、オリジナル・モノラルとは全く異なった趣があることだけは確かです。未体験の人も、案外やみつきになるかもしれません。
なお、この”フルトヴェングラー・ステレオ・トランスクリプション”シリーズはLP復刻ですので、LP特有のノイズが混入します。あらかじめ、ご了承下さい。(平林直哉)
キングインターナショナル
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