フルトヴェングラー&ベルリンフィル 1948年10月24日

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こんにちは、
ともやんです。

RIAS放送コンプリート・レコーディングス(CD13枚組)には、1948年10月24日に行われた、コンサートのプログラムが全て収録されています。

この日のプログラムは、

1、J・S・バッハ 管弦楽組曲第3番
2、シューベルト 交響曲第8番「未完成」
3、ブラームス 交響曲第4番

でした。バッハの曲に関しては昨日の投稿で触れています。

フルトヴェングラー RIAS放送コンプリート・レコーディングスより

さて今日は、宇野功芳氏の名著「フルトヴェングラーの全名演名盤」の解説を参考にしながら、1948年10月24日の次のプログラム、シューベルトの「未完成」とブラームスの第4交響曲について触れたいと思います。

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フルトヴェングラー&ベルリンフィル シューベルト「未完成」

フルトヴェングラーの未完成は、第一楽章だけのものも含めると7種類残されています。オケは、43年のストックホルムフィルと50年のウィーンフィルとのセッション録音意外は、ベルリンフィルです。

この「RIAS放送コンプリート・レコーディングス」には、5年後の53年9月15日のライブ録音も収録されていて、その違いは、53年のレビューでコメントしたいと思います。

宇野氏著書には、フルトヴェングラー自身は、この曲を演奏する前は、そわそわして落着かなかったという伝聞を伝え、宇野氏自身は、「未完成」の曲想が、フルトヴェングラーの表現とぴったりとマッチしていないので、演奏し辛かったのではないかと推測しています。

宇野氏自身も指揮をする立場なので、こんなコメントも出るのでしょう。

ただ演奏は素晴らしいです。特に第一楽章が素晴らしい。
冒頭の地の底から沸き起こってくるような旋律に戦慄してしまいます。
それに続く第一主題の提示部での伴奏の内声部も有機的な響きにぞくぞくします。

展開部は宇野氏も書いていますが、まさにフルトヴェングラーと「未完成」の真剣勝負的なスリリングな展開です。

第二楽章は逆に淡々と展開しますが、内容が薄いわけではなく逆にコクがあり自然で感銘深い演奏です。

最後に、宇野氏は、CD化でLP初出盤に比べ音質が落ちていると書かれていますが、多分2009年にリリースされたこの「RIAS放送コンプリート・レコーディングス」は聴かれていると思うので、多少は満足されたのではないかと想像します。

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フルトヴェングラー&ベルリンフィル ブラームス 交響曲第4番

宇野氏は、芸術の決め手は、「情熱と寂しさ」と語っています。そしてフルトヴェングラーの演奏はそれをしっかり持っているということです。
一見背反するこの2つが共存することで人びとは感動するのだと思います。

ブラームスの曲には、この2つの要素が内包していて、だから曲想的にはフルトヴェングラーにはぴったりだと思います。

そしてブラームスの4つの交響曲の中でも「情熱と寂しさ」より色濃く要するのは第3番と第4番です。

第4番の録音は4種類あり、ベルリンフィルとは43年、48年、49年と全てライブで残っており、表現的には大きな違いはなく、48年盤を持っていれば良い、とコメントしています。
ただ、49年盤の方が音質が良いので、熱烈なファンならこれも持っていたいと書いています。

もっとも「RIAS放送コンプリート・レコーディングス」が出たことで、これを所有して聴いていればいいのかなというのが僕の結論です。

なお、50年8月のウィーンフィルとのライブ録音も残されていますが、聴くに堪えない音質だということです。僕も未聴です。

聴くべき箇所は、第一楽章の冒頭の音。寂寥感を湛えた荒涼たる荒野を観るような寂しさに溢れています。宇野氏もよくこんな音を出せるものだと感嘆しています。

ただ、コーダのアッチェランドはやりすぎでせっかくの名演が多少軽くなるように感じてしまいます。

緩徐楽章の密度の濃い表現、第三楽章の爆発力を持った表現も素晴らしく、終楽章の第一変奏のものものしさはフルトヴェングラーならではです。

ただ個人的には、コーダでの加速はなんか軽くなったり素っ気なく感じることがあるのでしっかりした足どりで進めてほしい思うのですが、実際に聴いている人たちは興奮するだろうなとも思います。

この1948年10月24日のフルトヴェングラー指揮ベルリンフィルの実演を聴いた人は、素晴らしい時間を過ごしたと強く思います。

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フルトヴェングラー シューベルト「未完成」ブラームス第4番

フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D. 759(抜粋)
Symphony No. 8 in B Minor, D. 759, “Unfinished” (excerpts)

1.(11:37) I. Allegro moderato
2.(12:02) II. Andante con moto
total(23:39)

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ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98

3.(12:46) I. Allegro non troppo
4.(12:23) II. Andante moderato
5.(06:28) III. Allegro giocoso – Poco meno presto
6.(09:47) IV. Allegro energico e passionato – Piu allegro
total(41:24)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 24 October 1948, Berlin, Germany

フルトヴェングラー / コンプリートRIASレコーディングス

Auditeが満を持して放つ フルトヴェングラー・コンプリートRIASレコーディングズ!
RIASに眠っていたオリジナルテープから細心のマスタリングで、今よみがえる真実のフルトヴェングラー!

Auditeのホームページ(http://audite.de/index.php?bnm=181)でオリジナルのテープの音質とマスタリング後の音質のチェックができます。
20数分間にわたり、いかなるポリシーのもとにAuditeがリマスタリングをほどこしたかが、マスタリング前と後で聴き比べることができます。
特にブルックナー8番、1楽章コーダのわざとのような咳の嵐(それにしても、あの音楽でどうしてあんなに盛大な咳ができるのか!当時のベルリンはよっぽど風邪がはやっていたのか?3月なのに?)がマスタリング後は音楽性をまったく損なうことなく、気にならないレヴェルまで抑えられているのはデジタル・テクノロジーの驚異と申せましょう。
そして全編にわたりナレーションを担当しているのはあの、アンジェラ・ヒューイットというのも驚きです。
素晴らしく聞き取りやすくわかりやすい英語です。ぜひ御一聴ください。
演奏そのものについてはもうなにも付け加えることはない素晴らしいものばかり。戦後のフルトヴェングラーの円熟期、絶頂期の音楽がベルリンフィルとの黄金の組み合わせでたっぷり堪能できる、Auditeにフルヴェン・ファンは足を向けて寝られなくなること疑いなしのセットでございます。
※コメント提供キングインターナショナル

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