こんにちは、
ともやんです。
僕の敬愛する音楽評論家、宇野功芳氏は、著書の中でよくネクラ三大作曲家として、ブラームス、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチを挙げています。
かと言って嫌っているのかというとそうでもなさそうです。
もっとも音楽評論家としてこの3人を扱わないというのは、かなり仕事が減りそうな気がしないでもありません。
また、ショスタコーヴィチに関しては特に暗いと強調していますが、宇野氏の著書を読む限り、むしろショスタコーヴィチに関しては愛情すら感じます。
つまりこの三人の作曲家に関しては二律背反する感情を持たれていたのかもしれません。
フルトヴェングラー 情熱と寂しさ
さて、宇野氏の続きですが、フルトヴェングラーの芸術の根本にあるものは「情熱と寂しさ」を記されています。
また彼の音楽は、高次元でセンチメンタルを昇華させたものとも書かれています。
なんとなくわかります。
能天気な音楽は人を感動させません。
笑いの中にある寂しさ、情熱の中にある悲しみ、それが感じるから感動するのだと思います。
明るい南米音楽の中にある郷愁、日本のわびさびも近いかもしれません。
かと言って大げさな泣き節とは違います。
フルトヴェングラーの演奏が感動的なのは情熱と寂しさが高次元で昇華したときなのです。
もちろんフルトヴェングラーの演奏が全てそうなのではありません。
いくつかの演奏の中にとてつもかく素晴らしい演奏があるのです。
だからそんな感動を求めて僕はフルトヴェングラーの演奏を聴いているのだと思います。
そしてそのネタとなるセンチメンタルがチャイコフスキーとブラームスにあります。
ショスタコーヴィチはちょっと違うものなのでここでは触れません。
ただ、ブラームスの録音に比べ、チャイコフスキーが少ないのが寂しいです。
その中で最高の演奏で録音状態がいいのが交響曲第4番。
スタジオ録音でしかも晩年に近い51年ということで克明に振りながら、持ち味の情熱と寂しさを充分持ち合わせた名演です。
フルトヴェングラー チャイコフスキー 交響曲第4番
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー – Pyotr Il’yich Tchaikovsky (1840-1893)
交響曲第4番 ヘ短調 Op. 36
Symphony No. 4 in F Minor, Op. 36
1.(19:26) I. Andante sostenuto – Moderato con anima
2.(10:27) II. Andantino in modo di canzona
3.(05:58) III. Scherzo: Pizzicato ostinato – Allegro
4.(09:21) IV. Finale: Allegro con fuoco
total(45:12)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 8-10 January 1951, Vienna, Austria
チャイコフスキー:交響曲第4番&「弦楽セレナード」より ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 、 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2011年に”ヴィルヘルム・フルトヴェングラー生誕125周年記念企画”としてリリースされたリマスターSACD(ハイブリッド)シリーズの通常盤。本作は、巨匠フルトヴェングラーの音楽観が結実したチャイコフスキーの名演集。交響曲第4番他を収録。
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