クレンペラーの名盤 ベートーヴェン交響曲第1&6番”田園”(1957)

クレンペラー

こんにちは、
ともやんです。

クレンペラーが、きちんと全集の企画としてスタジオで録音したのが、57年から60年にフィルハーモニア管弦楽団とのステレオ録音です。

昨年1970年にニュー・フィルハーモニア管弦楽団との全集が映像で出ましたが、残念ながら僕はまだ観ていません。ファンとしては、ぜひ映像と演奏を確認したのですが、まずBlu-rayプレイヤーを手に入れないと。。。

ところでこの全集何度か聴いてきましたが、ベートーヴェンの生誕250年と全集録音60年ということで、改めて聴いてみることにしました。

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クレンペラー ベートーヴェン交響曲全集録音逸話

この全集の録音時期を見ると、

1957年10月に、第1、2番、4番、6番、8番、9番の5曲。
1959年10-11月に、第3、5番の2曲
1960年10-11月に、第7番

になります。

ここで不思議に感じるのは、なんで1958年の録音がないか?ということです。

クレンペラーは、53年より5年ほど好調だったのですが、この人の生涯には大怪我が付きもので、58年10月にチューリヒの自宅で、寝タバコが原因でシーツが燃え、全身の15パーセントに及ぶ大やけどを負って重体に陥ってしまったのです。

その後、皮膚移植手術を何度か繰り返して 1959年7月にはなんとか回復。

その間、バイロイトでの『マイスタージンガー』や、オランダ音楽祭での『トリスタンとイゾルデ』という重要な演目がキャンセルとなってしまったものの、9月にはルツェルン音楽祭でフィルハーモニア管とハスキルとの共演で指揮に復帰。

しかし10月に入ると、今度は急性良性心膜炎と診断され、メトロポリタン歌劇場で予定されていた『トリスタンとイゾルデ』をやむなくキャンセル。フィルハーモニア管との『ドン・ジョヴァンニ』のEMI録音も中止となります。
その後回復し、『運命』と『英雄』を録音しました。

この大やけどを挟んでの57年と59年の録音には、大きな違いを感じます。
今後、『運命』、『英雄』のレビューでその辺をチェックしたいと思います。

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ベートーヴェン 交響曲第1番&第6番”田園”

近年のピリオド楽器を使った奏法に慣れてきた耳には、仰ぎ見るような演奏です。
特に第1番に関しては、ハイドンの影響を感じさせる曲なので、ピリオド楽器を使った素晴らしい演奏に接すると、これこそがベートーヴェンが求めていた響きか、と思うこともあります。

クレンペラーのスタイルは、どこもデフォルメすることなく、風通しの良く刻明にスコアを再現してく愚直な演奏で、クレンペラーの常として特に木管がはっきりしかもチャーミングに響くのが堪らない魅力です。

演奏の魅力としては第6番”田園”の方が上で、特に第3楽章以降は、明瞭で骨組みがはっきり見えるスケルトンのような演奏で、でも殺風景ではなく、もっと人間の煩悩を突き抜けたような清々しく広々として演奏になっているとても魅力です。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第1番 ハ長調 Op. 21
Symphony No. 1 in C Major, Op. 21

1.(09:55) I. Allegro con brio
2.(08:53) II. Andante cantabile con moto
3.(04:04) III. Allegro
4.(06:21) IV. Finale: Adagio – Allegro molto e vivace
total(29:13)

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交響曲第6番 ヘ長調 「田園」 Op. 68
Symphony No. 6 in F Major, Op. 68, “Pastoral”

5.(13:05) I. Awakening of Cheerful Feelings Upon Arrival in the Country: Allegro ma non troppo
6.(13:22) II. Scene by the Brook: Andante molto mosso
7.(06:34) III. Merry Gathering of Country Folk: Allegro
8.(03:44) IV. Thunderstorm: Allegro
9.(09:13) V. Shepherd’s Song: Happy and Thankful Feelings after the Storm: Allegretto
total(45:58)

フィルハーモニア管弦楽団 – Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音:1957年10月

『クレンペラー / ベートーヴェン: 交響曲 & 序曲集 (限定盤)』

最後に

クレンペラーの演奏を形容するのは難しいです。

また、音楽評論家、故宇野功芳氏は、クレンペラーの録音は、60年以降が素晴らしいと書いていますが、僕は、現在では、50年代がもっとも充実していたのでは感じます。

年齢として65歳から75歳で、モントリオール空港での大怪我や、寝たばこによる大やけどなどありましたが、もっと若い頃の勢いのあるリアルだが素っ気ない演奏と後年の遅いテンポによる緻密な演奏への過渡期的な演奏ですが、それだけに両方のいいところが合わせった素晴らしい演奏を生み出していると思います。

個人的にはこの頃は、迫力に加え覇気が溢れていました。

録音もモノラルからステレオへの移行期、この時期の録音はもっと評価されて良いと思います。

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