こんにちは、
ともやんです。
エーリヒ・ラインスドルフは、1912年2月4日ウィーン生まれ。1993年9月11日に癌のためチューリヒで死去。今年が没後30年の年です。
僕の持つCDの帯には次のように書かれています。
“指揮者の中の指揮者と称賛され、作曲家の弁護人とまで言われた大指揮者ライスドルフ。日本での評価がさほど高いとは言えないのが惜しい限りです。”
没後30年のライスドルフの振る生誕190年のブラームスの交響曲を聴いてみます。
ラインスドルフについて
ラインスドルフは、来日していないと思っていましたが、読者の方からの指摘で改めて調べてみると1978年にバーンスタインの代役としてニューヨーク・フィルと来日していました。
またその資料などを読むと細部までこだわりを持つ職人気質な音楽家だとわかります。また世渡り上手な印象も少ないです。むしろ自分の主張を通して周囲と軋轢を生むタイプだったとも思われます。
だからスター性には乏しかったのでしょう。上記に日本での評価がさほど高いとは言えないというのは、来日しなかったことと、職人気質な指揮者で華をあまり感じさせなかったと思われます。
またシューリヒトやクナッパーツブッシュのように宇野功芳という個性的な評論家が事あるごとに名盤を発掘し紹介するという面のなかったようです。
しかし、若き日のラインスドルフは、貧しいけど才能な溢れ、しかも自分の力でチャンスをモノにする若者でした。
それは、ワルターやトスカニーニのアシスタントになったエピソードからも窺い知れます。
ラインスドルフ ブラームス交響曲全集
ラインスドルフは、1962年から69年までの7年間、ミュンシュの後任としてボストン交響楽団の常任指揮者を務めました。
ちょうど指揮者としてもっとも心身ともに充実している50代という時期で、彼のキャリアの中でもピークの時期だったと思われます。
その時期に録音されたブラームスの交響曲全集が良くないはずがありません。
残演ながらもっとも古い61年録音の第4番のみモノラルですが、残りはステレオによるライブ録音です。
ライブと言うことで観客の咳ばらいや息遣いまで感じられる臨場感あふれる録音です。しかも職人タイプのラインスドルフは、濃密で充実した内容を克明に描き切っています。それをライブ特有の緊張感と熱気が終始支配しているので、圧倒的名演です。
終了後のボストンシンフォニーホールの観客たちの歓声と盛大な拍手も収録されていて、自分自身もコンサートホールにいる錯覚を受けたほどです。
CDの帯には、トスカニーニのフィルハーモニア盤にも匹敵する素直でかつ拡がりに満ちた大演奏と記しています。
ラインスドルフ 名盤 ブラームス交響曲第1番
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第1番 ハ短調 Op. 68
Symphony No. 1 in C Minor, Op. 68
1.(12:11) I. Un poco sostenuto – Allegro
2.(08:52) II. Andante sostenuto
3.(04:21) III. Un poco allegretto e grazioso
4.(15:59) IV. Adagio – Piu andante – Allegro non troppo, ma con brio
total(41:23)
ボストン交響楽団 – Boston Symphony Orchestra
エーリヒ・ラインスドルフ – Erich Leinsdorf (指揮)
録音:18 November 1963 Boston Symphony Hall
ブラームス交響曲全集 エーリヒ・ラインスドルフ ボストン交響楽団
これぞ大本命!ラインスドルフのブラームス全集ライヴ
第4番以外は良好なステレオ録音!!
凄絶な名演集!!指揮者の中の指揮者と称賛され、作曲家の弁護人とまで言われた大指揮者ラインスドルフ。日本での評価はさほど高いとは言えないことが惜しい限りです。
多くのレパートリーがRCAに録音されましたが、コンサート、オペラで八面六臂の活躍をした巨匠のライヴ録音があまり出ていないことも再評価が遅れる所以でしょう。
ここに大本命のブラームス全集が登場します。第4番以外はステレオという朗報。
第1番は、トスカニーニのフィルハーモニア盤にも匹敵する率直でかつ拡がりに満ちた大演奏。ティンパニの追加やいくつかのラインスドルフ独自の改訂が見事に決まっております。
第2番は、トランペットの意識的な強奏が如何にもドイツ系の指揮者だなと唸るばかり。ボストン響が輝かしい音色でさらに思い切りの良い豪快さも兼ね備えて盛り上がりが凄まじいことになっております。ミュンシュとまではいかないもののフィナーレのフェルマータを存分に伸ばして喝采を浴びております。
第3番もラインスドルフならではのホルンの音型のアレンジもあり、徒なテンポ変化を禁じているもののかなりギアチェンジを頻繁に行う面白演奏。
第4番が最も古く、ステレオ感に乏しいものの、音質は極上。冒頭の憂いを含んだ絶美の開始。熱のこもった筋肉質で引き締まり終楽章シャコンヌではボウイングにかなりの工夫を凝らした名演です。
コメント
ラインスドルフは、1978年にニューヨークフィルと来日しております(バーンスタインの代役として)。
エリック様、お世話になります。
ご指摘ありがとうございます。早速修正いたしました。
引き続きよろしくお願いいたします。ともやん