こんにちは、
ともやんです。
6月に20世紀の巨匠指揮者、オットー・クレンペラー(1885-1973)
この人は、ベートーヴェンを得意としていました。
しかし、1歳違いのフルトヴェングラーとは全く対照的な演奏でした。
フルトヴェングラーが、テンポを動かす能動的な演奏だったのに対して、堅固にして泰然とした演奏で、その違いは、特に第5番と第7番に顕著に表れていたように感じます。
クレンペラーのベートーヴェン
フルトヴェングラーのベートーヴェンが夢中になってテンポの伸縮自在で表現したのに対し、クレンペラーは、インテンポで泰然として演奏を進めていました。
どちらも感動的な演奏で、良し悪しの問題ではないです。
フルトヴェングラーはドイツ人、クレンペラーはユダヤ系で、時代は二人にそれぞれ過酷な運命を与えましたが、その中でクレンペラーは、身体的にも精神的にも多くの苦難を克服し、87歳までの人生を全うしました。
それはベートーヴェンの交響曲の演奏遍歴を聴くとわかります。
その中では、第5番と第7番は50年代にはスタイルが完成していて、あとはより深く、より広くしていった感じがあります。
そういう意味では、この1955年、クレンペラーは既に70歳になっていますが、大器晩成の人もでもある彼は、ここからより高みに登った人だったのです。
クレンペラー ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」&第7番1955
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
1.(08:04) I. Allegro con brio
2.(10:06) II. Andante con moto
3.(05:43) III. Allegro –
4.(11:07) IV. Allegro
total(35:00)
フィルハーモニア管弦楽団 – Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: 6, 7 October, 17 December 1955, Kingsway Hall, London
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交響曲第7番 イ長調 Op. 92
Symphony No. 7 in A Major, Op. 92
5.(12:53) I. Poco sostenuto – Vivace
6.(09:27) II. Allegretto
7.(08:24) III. Presto
8.(07:58) IV. Allegro con brio
total(38:42)
フィルハーモニア管弦楽団 – Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: 5, 6 October, 17 December 1955, Kingsway Hall, London
ワーナークラシックス・リマスター・エディション(シンフォニック&協奏曲作品録音全集) オットー・クレンペラー
2023年7月8日に、巨匠指揮者オットー・クレンペラーは没50年をむかえます。それを記念して、ワーナークラシックスのカタログに収録されている彼の完全な録音全集が、オリジナル・マスターテープより2023年24bit/192kHzリマスター音源による2つのボックスとして発売いたします。その第1弾として《シンフォニック作品&協奏曲作品録音全集(95CD)》を、2023年6月に発売いたします。
堅忍不屈の意志をもって、身に降りかかる禍に屈せず送った生涯と同様、クレンペラーの生みだす音楽は、常に堅固でゆるぎないものでした。奇をてらわず、表層の演奏効果には目もくれず、スコアに真正面から向かい合った硬派な演奏の最右翼ともいえるこの「運命」。ベートーヴェンがわずかなモチーフから紡ぎ、展開させて巨像を築いていくさまが、あたかも青写真を手に取り眺めるように聴き取ることができます。第7はモノラル盤の復刻。「舞踏の聖化」とはいえ、こちらもいたずらに浮足立つことのない荘重な趣で、あたかも重装歩兵の舞のよう。いずれもフィルハーモニアとの最強のタッグとして残された遺産です。
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