こんにちは、
ともやんです。
カール・シューリヒトは、1880年にダンツィヒ(グダニスク)生まれ。
20歳から音楽の仕事に従事するが、メンデルスゾーンの末裔の銀行家フランツ・メンデルスゾーンの援助でベルリンで音楽の勉強を続けました。
1912年から32年間にわたってヴィスバーデンの音楽監督を務めながら、ウィーンフィル、ベルリンフィル、コンセウルトヘボウなど、ヨーロッパの主要オーケストラに客演。耳の肥えた聴衆から敬愛された名指揮者です。
そんなシューリヒトが、デッカに録音した名演をひとまとめにした素晴らしいセットが出ています。この録音全集から、おすすめの名演をご案内して行きます。
シューリヒトと岩下眞好慶応大学名誉教授と
慶應義塾大学のでドイツ文学の名誉教授をされていた岩下眞好(まさよし)氏が脳出血で亡くなられたのが、2016年12月15日のことでした。享年66歳。岩下氏は、レコード芸術など、クラシック音楽の執筆も多かった方でした。
その岩下氏が、1998年に出版された『クラシック名盤&裏名盤ガイド』洋泉社に書かれていることが少し僕にも当てはまることで反省しきりだったのです。
岩下氏は、慶応大学の教授という関係で若い学生たちとの交友も多い方でしたが、どうも往年の大指揮者、例えば、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、ワルターという録音で聴くことしかできない指揮者の演奏ばかりに夢中で、現役の演奏家の録音や実演を聴かずして音楽論を繰り広げることに閉口していたそうです。
実は僕にもその傾向が多少あり、極力、現役の演奏家の録音を聴いたり、コンサートに行くようにしたものです。
ただ、岩下氏は、そんな学生たちが必ず口にするシューリヒトの名前には、内心忸怩たる思いをしたそうです。
なぜなら、岩下氏は、シューリヒトに関しては、その録音は必ず誰彼となく進めていたからだそうです。
そして岩下氏が、最初にシューリヒトに驚嘆したのが、ウィーンフィルの振ったベートーヴェン交響曲第2番だったそうです。
そんなことから僕も早速聴いてみました。
シューリヒトの特有の軽やかで、透明で、無限のニュアンスに富んだ名演なのです。
僕は、このシューリヒトの軽やかさが好きで、軽やかなのに深いのです。
聴かずに死ねない名演の名盤です。
シューリヒト&ウィーンフィル ベートーヴェン交響曲第2番
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第2番 ニ長調 Op. 36
Symphony No. 2 in D Major, Op. 36
1.(10:05) I. Adagio molto – Allegro molto
2.(11:57) II. Larghetto
3.(03:31) III. Scherzo
4.(07:06) IV. Allegro molto
total(32:39)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
カール・シューリヒト – Carl Schuricht (指揮)
録音: May 1952, Grosser Saal, Musikverein, Wien, Austria
シューリヒト没50年記念
忘れられし誠実なる音楽家の至芸を再検証カール・シューリヒトは1880年、ダンツィヒでドイツ人の父とポーランド人の母の間に生まれました。オルガン製作者であった父親は、カールが生まれる直前に事故で亡くなりましたが、母親はオラトリオ専門の歌手でした。カール自身は音楽のあらゆる分野で才能を示し、10代半ばにして才能ある器楽奏者として認められ、自分自身で数多くの作曲も行っていました。当然指揮もこなしており、ベルリンでフンパーディンク、ライプツィヒでレーガーに学ぶ権利を得、その後ヴィースバーデンで指揮者としての地位を得たのでした。彼は1911年から1944年の30年以上にもわたってこのポジションを務めました。その間に数多くの経験を積みながら、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロンドン・フィル、パリ音楽院管弦楽団などとドイツ=オーストリアの作品を中心にDeccaへ録音を行ったのでした。このBOXに収められたDeccaへの録音のなかには、クリスチャン・フェラス、バックハウスのバックを務めた音源も含まれています。各CDはオリジナル・ジャケットデザインによる紙ジャケットに封入。
彼のベートーヴェン:交響曲第5番の演奏について、「作品にとってこれ以上の演奏はあり得ない」とフルトヴェングラーが語っています。
ユニバーサル・ミュージック
最後に
僕は以前から、シューリヒトの演奏のような老人になりたいと思っています。
頑固で気難しい老人になるのは簡単かもしれません。
逆に軽やかで清々しい、突き抜けたような老人になるのは難しいと思うしちょっとした心意気が必要だと思います。
シューリヒトほど、高齢になるに従い活躍した指揮者はいないかもしれません。
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