こんにちは、
ともやんです。
カール・シューリヒト(1880-1967)が、1953年にウィーンフィルとの録音から、ブラームスの交響曲第2番が素晴らしいです。
ぜひ聴いて頂きたいし、これは20世紀の貴重な遺産だと思います。
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『カール・シューリヒト/デッカ録音全集』
カール・シューリヒトは、1880年にダンツィヒ(グダニスク)生まれ。
20歳から音楽の仕事に従事するが、メンデルスゾーンの末裔の銀行家フランツ・メンデルスゾーンの援助でベルリンで音楽の勉強を続けました。
1912年から32年間にわたってヴィスバーデンの音楽監督を務めながら、ウィーンフィル、ベルリンフィル、コンセウルトヘボウなど、ヨーロッパの主要オーケストラに客演。耳の肥えた聴衆から敬愛された名指揮者です。
特にウィーンフィルのメンバーからはこぞって敬愛され、60年代には、ブルックナーの交響曲第8番と第9番という名盤を遺しています。
そんなシューリヒトが、デッカに録音した名演をひとまとめにした素晴らしいセットが出ています。この録音全集から、おすすめの名演をご案内して行きます。
シューリヒト&ウィーンフィル 最高のブラームス第2番
この録音がされたのが、1953年6月といいますから、フルトヴェングラーは健在です。
しかも当時EMIでフルトヴェングラーとウィーンフィルでベートーヴェンの交響曲全集の録音が継続中でした。
まず聴いて驚いたのが、緩急自在のテンポです。
緩急自在と言うとフルトヴェングラーの専売特許のようですが、シューリヒトがこんなにテンポを曲想に合わせて自在に動かしている録音も珍しいと思います。
しかも大事な主題では、ギアをガクッと落として濃密な表現をしています。
しかし、フルトヴェングラーのように重くならないのは、やはりシューリヒトの芸風でしょうか。
第2楽章は、ウィーンフィルの弦の魅力が最大限に感じられます。後ろ髪が引かれるような情感豊かな表現が素晴らしく、それに絡むホルンや木管の鄙びた響きにもグッときます。
それは、第3楽章ではより木管の響きが心に染み入り、翻って終楽章は、素晴らしい推進力で盛り上げ駆け抜けて行きます。
これは聴かずに死ねない名盤です。
シューリヒト&ウィーンフィル ブラームス交響曲第2番
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第2番 ニ長調 Op. 73
Symphony No. 2 in D Major, Op. 73
1.(14:01) I. Allegro non troppo
2.(08:56) II. Adagio non troppo – L’istesso tempo, ma grazioso
3.(04:54) III. Allegretto grazioso (quasi andantino) – Presto ma non assai
4.(08:44) IV. Allegro con spirito
total(36:35)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
カール・シューリヒト – Carl Schuricht (指揮)
録音: June 1953, Grosser Saal, Musikverein, Wien, Austria
シューリヒト没50年記念
忘れられし誠実なる音楽家の至芸を再検証カール・シューリヒトは1880年、ダンツィヒでドイツ人の父とポーランド人の母の間に生まれました。オルガン製作者であった父親は、カールが生まれる直前に事故で亡くなりましたが、母親はオラトリオ専門の歌手でした。カール自身は音楽のあらゆる分野で才能を示し、10代半ばにして才能ある器楽奏者として認められ、自分自身で数多くの作曲も行っていました。当然指揮もこなしており、ベルリンでフンパーディンク、ライプツィヒでレーガーに学ぶ権利を得、その後ヴィースバーデンで指揮者としての地位を得たのでした。彼は1911年から1944年の30年以上にもわたってこのポジションを務めました。その間に数多くの経験を積みながら、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロンドン・フィル、パリ音楽院管弦楽団などとドイツ=オーストリアの作品を中心にDeccaへ録音を行ったのでした。このBOXに収められたDeccaへの録音のなかには、クリスチャン・フェラス、バックハウスのバックを務めた音源も含まれています。各CDはオリジナル・ジャケットデザインによる紙ジャケットに封入。
彼のベートーヴェン:交響曲第5番の演奏について、「作品にとってこれ以上の演奏はあり得ない」とフルトヴェングラーが語っています。
ユニバーサル・ミュージック
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