こんにちは、
ともやんです。
先日の4月13日がヘンデルの傑作「メサイア」の初演された日でした。
1742年4月13日にアイルランドのダブリンで初演されて大成功を収めています。
そして翌日4月14日がヘンデルの命日でした。
1759年4月14日にロンドンで、74歳の生涯を閉じています。
そこで今晩は、クレンペラーによるヘンデルの「メサイア」について記したいと思います。
クレンペラーの音楽
数年前に亡くなった音楽学者の礒山雅(いそやま ただし)氏(1946-2018)が、『クラシックの巨匠たち CDで聴く名演』でクレンペラーについて書いている文章はクレンペラー・ファンにしては心強いものです。
以下、一部を抜粋して掲載します。
“クレンペラーは、妥協を知らなかった。自分の信念に忠実に音楽することがつねに彼にとってすべてで、周囲がそれを受けとるかなどということは、不思議なくらい、念頭になかった。
中略
じっさい、クレンペラーの演奏はつねにかなり無愛想だし、感覚的魅力も、しばしば欠けている。多彩な音色美だとか、水もしたたるような歌わせ方だとか、躍動的なリズムだとか・・・・・。だが私は、それらに十分引き換えうるだけの実質を、クレンペラーの演奏はもっていると思うのである。わかりやすい啓蒙書にくらべ、難解な哲学書に、じつは深い内容が盛り込まれているように。啓蒙書はもちろん必要だが、世の本がみな啓蒙書になってしまったら、思索の精神は衰えるだろう。だが、本ばかりでなく、音楽においてもその徴候のみられるのが、現代はないだろうか。時代に超然として、本質のみを掘り下げ続ける人というのは、もう、なかなか出なくなった。
そう考えると、クレンペラーという指揮者がいかに貴重な存在であったかが、改めて痛感されてくる。精神の健康を保つためには、クレンペラーの遺産に、これからも耳を傾けてゆきたいものである。”
クレンペラーのメサイア
礒山氏は、ミュンヘンで2年間ほど過ごしたそうですが、その時期にクレンペラーのLPレコードが、セットでお得な価格でていたため、それを買い求め日々聴き込んだそうだ。そして、高校から大学時代に掛けてクレンペラーを一生懸命になって聴いていた頃を思い出し、クレンペラーの録音から自身のベスト10を提示しています。
それによると「メサイア」は、「マタイ受難曲」に続いて第2位だそうだ。
以下、礒山氏のコメントを以下に記す。
“ヘンデルのイメージは、ガーディナーあたりの活動によって最近すっかり塗り変えられてしまったが、伝統的な壮麗で力強いヘンデル像にも一半の真理を認めるとすれば、クレンペラーの<メサイア>は、その最右翼に置かれうる。ずっしりとした重みをもつ、堂々たる演奏である。”
僕は、クレンペラーの演奏に壮麗にして透明度の高いものを感じるのです。
クレンペラー 名盤 ヘンデル メサイア
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル – George Frideric Handel (1685-1759)
オラトリオ「メサイア」 HWV 56
Messiah, HWV 56
エリーザベト・シュヴァルツコップ – Elisabeth Schwarzkopf (ソプラノ)
グレース・ホフマン – Grace Hoffman (アルト)
ニコライ・ゲッダ – Nicolai Gedda (テノール)
ジェローム・ハインズ – Jerome Hines (バス)
フィルハーモニア合唱団 – Philharmonia Chorus
フィルハーモニア管弦楽団 – Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
(録音:1964年)
宗教音楽集~J.S.バッハ、ヘンデル、ベートーヴェン オットー・クレンペラー
クレンペラー没後40年を記念したアニヴァーサリー・エディション。バッハ、ヘンデル、ベートーヴェンの宗教大作の名盤4作品が収録されています。
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