こんにちは、
ともやんです。
フルトヴェングラーの劇的で悲劇性を帯びた指揮は、ブラームスの交響曲、特に第1番には、とても向くと思います。
多分コンサートでも多く取り上げ、実際録音でも10種類残されています。
しかし、録音嫌いでスタジオでも非協力的だったフルトヴェングラーの録音は、ライブが9種類で、スタジオが1つだけで、それも47年と古く、これぞという録音が残念ながらないのが現状です。
フルトヴェングラー ブラームス第1番 決定盤は?
さて、これぞという録音がないと記しましたが、その中でもフルトヴェングラーの表現はよく捉えられていて、感銘を受ける録音はいくつかあります。
まず、1951年10月27日の北ドイツ放送響とのライブ。宇野功芳著『フルトヴェングラーの全名演名盤』の中でも、
“指揮者の気迫とひびきの密度はほかのどのCDよりも凄まじい”
と記されています。
次が、より一般的ですが、1952年1月27日のウィーン・フィルとのライブ録音。
この録音は、ブラームスの第1番では、ティンパニの重要度が高いのですが、この録音ではティンパニが鈍くて非常に惜しいのです。
ライブ録音という弊害なのか、ティンパニはいかにも奥に引っ込んだ感じで、録音のせいというのも多分にあると思います。
さて、今日取り上げた、残念ながら宇野氏は、ローマRAI交響楽団との1952年3月7日の録音は、宇野氏は、カナダ・ロココというレーベルから出ていたLPで聴いてようですが、相当音質が悪かったとみえて、次のように記しています。
“フルトヴェングラーの数多いディスクの中でも最も録音の劣悪なものの一つで、音量も著しく弱く、オケも良くなく、採るべき何ものもない。”とばっさり切り捨てています。
ただ、宇野氏はよっぽどひどいLPを聴いたようです。
僕が所有しているアンドロメダというレーベルから出ているCDでは、十分鑑賞できる音質なのです。
しかも演奏もかなり充実した内容なのです。
だから、以下の制作者の平林氏が書いているように、過去最高の情報量ということでかなり期待できるCDだと思います。
フルトヴェングラー ブラームス交響曲第1番
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第1番 ハ短調 Op. 68
Symphony No. 1 in C Minor, Op. 68
1.(14:21) I. Un poco sostenuto – Allegro
2.(09:50) II. Andante sostenuto
3.(05:18) III. Un poco allegretto e grazioso
4.(17:05) IV. Adagio – Piu andante – Allegro non troppo ma con brio
total(46:34)
ローマRAI交響楽団 – RAI Symphony Orchestra, Rome
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 07 March 1952
ブラームス: 交響曲第1番、ベートーヴェン: 「レオノーレ」序曲第3番
■制作者より
フルトヴェングラーがトリノ・イタリア放送交響楽団を振ったブラームスの交響曲第1番、1952年3月7日のライヴはカナダ・ロココのLP(2017/1972年)が初出でした。しかし、このLPは極端に出力レベルが低く、宇野功芳著「フルトヴェングラーの全名演名盤」(講談社+α文庫/絶版)の中でも「採るべき何もない」とされていました。その後、CDではいくらかましな音で聴けるようになりましたが、今回入手したテープは間違いなく過去最高の情報量です! これを聴くと、同じ1952年にライヴ録音されたベルリン・フィル、ウィーン・フィルを上回るとまでは言いませんが、かなり肉迫するものだということが実感されるのでしょう。
「レオノーレ」序曲第3番はGS-2048(2010年4月【廃盤】)に世界初出としてCD化したものです。過去には「1952年3月3日、トリノ」と表示されたCDは複数発売されていますが、それらの中身はすべて「1950年7月、アムステルダム・コンセルトヘボウ」です。最近制作されたイタリア国営放送(RAI)の自主制作盤には本物の「1952年3月3日」の演奏が含まれているらしいですが、一般市販CDとしてこのライヴが聴けるのは現在のところGS品番が唯一です。(平林直哉)
キングインターナショナル
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