こんにちは。
ともやんです。
オットー・クレンペラーは、僕が一番心酔している指揮者です。
もう30年以上に渡って彼のLP、CDを集め聴いてきました。
どこにそんなに憧れるのだろうか?と考えてみると、人は自分にないものに惹かれると言いますが、クレンペラーのその強靭な精神力と刻明に真実を描き出すその演奏スタイルではないか思います。
しかもその生涯は波乱に満ちたもので、ナチスドイツから逃れ渡米しましたが、その後の大病や度重なるケガから戦後ヨーロッパに戻り不死鳥の如く再起しました。
幸いにもEMIにフィルハーモニア管弦楽団との多くの録音が残っており、しかも88才という長寿でもあったことから、クレンペラーの芸術がステレオ録音で聴くことが出来るのは本当に嬉しいことです。
今日は、1957年から60年に掛けてEMIにステレオ録音したベートーヴェン交響曲全集から第3番”英雄”にスポットを当てたいと思います。
オットー・クレンペラーの生涯とベートーヴェン交響曲全集の録音
オットー・クレンペラーは、1885年5月14日ブレスラウに生まれ、1973年7月6日にチューリッヒにで88才で他界しました。
グスタフ・マーラーの門下として20世紀最高の指揮者です。
1907年、プラハのドイツ劇場で指揮者としての活動を開始し、1910年にはマーラーの推薦を得てハンブルク国立オペラの第1指揮者に就任しました。その後バルメン、シュトラスブルク、ケルン、ヴィスバーデンの歌劇場の指揮者を歴任、1927年ベルリンのクロル・オペラの指揮者に就任しました。
このクロル・オペラ時代は、彼の生涯の中でももっとも華やかな時代で、ヒンデミットの作品や、シェーンベルクの「期待」「幸福の手」、ヤナーチェックの「死の家の記録」、ストラヴィンスキーの「エディプス王」などを積極的に上演しています。
1933年にナチス・ドイツを逃れてアメリカへ行き、ロサンゼルス・フィルハーモニーの指揮者を務めて各地のオーケストラを客演しました。
しかし、30年代末には脳疾患で再起不能と言われたり、モントリオール空港ではタラップから転落し、大腿骨を折るなどの大けがに見舞われました。
しかし戦後不死鳥の如くヨーロッパに復帰し、50年まではブダペスト国立オペラの指揮者、55年にはロンドンのフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者となり72年の引退まで、ベルリンフィル、ウィーンフィル、バイエルン放送響などの名門オーケストラにも客演して、数々の名演と録音を残しました。
手兵フィルハーモニア管弦楽団とのステレオ録音によるベートーヴェン交響曲全集は、1957年から60年に録音が行われました。ただ、第1、第2、第4、第6田園、第8、第9が’57年10月に集中的に行われ、第3英雄、第5が’59年10月、第7が’60年10月から11月というに録音が行われました。
なぜ最初の録音から次の録音まで2年間も空いているかというと、この間に寝たばこが原因の大やけどを負って生死の淵を彷徨うという事故にも見舞われたためです。
しかもそれをも克服して59年以降の3曲は、現在も最高の演奏と評価の高い名演です。
第3番”英雄”は、数々あるこの曲の演奏の中でも群を抜いたユニークな演奏です。静けさに満ちて刻明に淡々と進んでい行きます。僕はグッとくるのは、第1楽章提示部で、ティンパニーがオフビート気味に入るところです。
第2楽章に静かに静々進みますが、クライマックスでは涙にぬれた悲劇の極みを表現しています。
終楽章では、それまで抑えていた金管やティンパニーが全開となりクライマックスとなりますが常に格調の高さは失われていません。
宇野功芳氏は、年を取って初めて分かる「エロイカ」と表現しています。
クレンペラー&フィルハーモニア管 ベートーヴェン交響曲第3番”英雄”
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
1.(16:34) I. Allegro con brio
2.(16:51) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(06:31) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(13:15) IV. Finale: Allegro molto
total(53:11)
フィルハーモニア管弦楽団 – Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: November 1959, Abbey Road Studios,London
【CD】 ベートーヴェン:交響曲 第3番 「英雄」 オットー・クレンペラー
ベートーヴェンの交響曲第3番≪英雄≫は、オットー・クレンペラーの代表的録音のひとつであり、この曲の代表的な演奏としてもつとに名高い演奏である。どっしりとした低音が曲全体を支え、悠揚迫らぬテンポが雄大なスケール感を生んでいる。演奏はフィルハーモニア管弦楽団。
なお、全集もお得な価格で入手できますのでおすすめです。
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『クレンペラー / ベートーヴェン: 交響曲 & 序曲集 (限定盤)』
以下、タワーレコードに寄せられて購入者の声です。
媚びも無い頑固一徹の言わば辛口のベートーヴェンが分かる歳になったかとクレンペラーを評価出来る自分自身の成長が妙に歯痒いけど、この全集は貴方の耳を確かめる診断書になる凄い全集なんです。
バレンボイムとの全集に入っていない、CD4,7、10が聴きたいので今回の全集を友人に買ってもらい、そこから分けていただくことにした。エロイカも7番も最近の腑抜けたベーレン何とか版などくそくらえ的な迫力のある演奏!満点!
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