こんにちは、
ともやんです。
今日はトスカニーニの命日。
1957年1月16日。89歳だった。
70歳の頃一旦引退を決めたが、NBCの熱烈な招聘により、意向17年に渡ってNBC交響楽団の多くの貴重な録音を残しました。
その全ては、この偉大な指揮者の後世の伝える貴重な遺産です。
今日はその中から、珍しいエルガーの録音を聴きました。
トスカニーニの功績
中学生の頃、読んでいた音楽雑誌の中で、ベートーヴェンの「運命」の演奏を違いをトスカニーニとフルトヴェングラーを取り上げて解説していたものを記憶しています。
幼い僕は、演奏の違いを示すのに対極の演奏する二人を例に挙げていることから同時代にライヴァル関係にあると感じていました。
しかし、トスカニーニは、1857年生まれで、フルトヴェングラーは1886年生まれ。その差が29年もあり、これを自分に当てはめてみると僕はトスカニーニの100年後の1957年生まれ。5年前の定年時に、フルトヴェングラーの100年後の1986年生まれの人は、まだ31歳。
とてもじゃないがライバル関係は難しく、むしろ若い31歳に相手にされなかったと思う。
むしろ時代的には、トスカニーニのライバルが、マーラー(1860-1911)だったのでないか、と思います。
マーラーは、残念がら1911年に51歳で亡くなっているため録音は残されていません。しかし生前は指揮者として活躍した人で、ウィーンの歌劇場で改革を行った人です。
マーラーにしろトスカニーニにしろワーグナー、ヴェルディ、ブルックナー、ブラームスがまだ元気に活躍して19世紀後半の空気の中で音楽を学び成長したことを思うとトスカニーニの聴き方にも幅が持てるような気がします。
僕自身はオペラは苦手でこれからどんどん接していきたいと思っています。トスカニーニの最大の功績として、青年期に影響を受けたワーグナーとヴェルディの理念と理想からスカラ座で具現化していったことだと書いている音楽評論家のコメントがありました。
それが1920年代、マーラー同様録音がないのが惜しまれます。
エルガー エニグマ変奏曲
管弦楽による独立した変奏曲は、ブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』が有名です。それ以前は、交響曲のある楽章で使用したりされていました。
有名どころでは、ベートーヴェンの英雄交響曲、第九の終楽章も変奏曲となっています。ブラームスでも第4交響曲の終楽章が変奏曲の形式を取っています。
エルガーは、尊敬するブラームスにあやかって素晴らしい独立した管弦楽の変奏曲を残しています。
それがエニグマ変奏曲。1899年に完成しロンドンで初演されています。
総譜の扉には『Variations on an original Theme』(自作主題による)と記されていて、各変奏曲には暗号のような符号で標題を付し、その内容は謎としています。
ということで俗に『Variations “Enigma”』”謎”の変奏曲と呼ばれるようになりました。
以下に変奏曲毎にイニシャルの頭文字だけ表示され、それぞれの名や別名、愛称を表していてそれぞれの人の性格描写を加えています。
例えが、第1変奏曲には、C.A.E=カロリン・アリス・エルガーと妻の名の頭文字を記しています。
エルガーによると彼の14人の友人の性格を描いたものですが、エルガー曰く、個人的なプライバシーに関わるので公開はさける、と語ったそうです。
トスカニーニの演奏は、メリハリの効いた情感豊かなもので、70年以上前の録音ながら非常に聴きやすいものです。商品解説によるとオーディオ・エンジニア、ラニ・スパーの入念なリマスタリングによって当時の音が鮮やかに蘇っています、ということです。
トスカニーニ エルガー エニグマ変奏曲
エドワード・エルガー – Edward Elgar (1857-1934)
エニグマ変奏曲 Op. 36
Variations on an Original Theme, Op. 36, “Enigma” (version for orchestra)
1.(01:16) Theme: Andante
2.(01:37) Variation 1: C. A. E. (The Composer’s Wife) ?
3.(00:42) Variation 2: H. D. S-P. (Hew David Steuart-Powell) ?
4.(01:18) Variation 3: R. B. T. (Richard Baxter Townshend) ?
5.(00:27) Variation 4: W. M. B. (William Meath Baker) ?
6.(01:40) Variation 5: R. P. A. (Richard Penrose Arnold) ?
7.(01:14) Variation 6: Ysobel (Isabel Fitton) ?
8.(00:58) Variation 7: Troyte (Troyte Griffith)
9.(01:24) Variation 8: W. N. (Winifred Norbury) ?
10.(02:54) Variation 9: Nimrod (A. J. Jaeger) ?
11.(02:27) Variation 10: Intermezzo: Dorabella (Dora Penny) ?
12.(00:53) Variation 11: G. R. S. (George Robertson Sinclair)
13.(02:14) Variation 12: B. G. N. (Basil G. Nevinson) ?
14.(02:25) Variation 13: Romanza: *** (Lady Mary Lygon) ?
15.(05:10) Variation 14: Finale: E. D. U. (The Composer)
total(26:39)
NBC交響楽団 – NBC Symphony Orchestra
アルトゥーロ・トスカニーニ – Arturo Toscanini (指揮)
録音: 5 November 1949, Radio City Studio 8H, New York City, USA
1905年、自作を指揮するために初めてアメリカを訪問したエルガー。以降、その翌年1906年と1907年、そして1911年の合計4回アメリカを訪れています。
彼の作品はアメリカでも人気を博し、とりわけ「威風堂々」はアメリカの高校、大学の卒業式に欠かせない作品となりました。
このアルバムには1940年代のアメリカで録音された3つの作品を収録。1949年にトスカニーニとNBC交響楽団が演奏した「エニグマ」変奏曲、ピアティゴルスキーの唯一の録音となった「チェロ協奏曲」、ロジンスキの指揮による、イギリス国内ではなかなか認められることのなかった晩年の作品「ファルスタッフ」、どれもアメリカで着実に息づくエルガー人気を反映した熱演です。
これらはどれもオーディオ・エンジニア、ラニ・スパーの入念なリマスタリングによって当時の音が鮮やかに蘇っています。
ナクソス・ジャパン
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