こんにちは。
ともやんです。
フルトヴェングラーは、第二次大戦後、ナチに協力した疑いで、それが晴れるまで演奏活動を禁止されていました。
紆余曲折の末、なんとか2年後の47年5月に復帰コンサートを開催して、ベルリンに戻ってきました。
戦後直後から、フルトヴェングラー不在の間、ベルリンフィルを守ってきたチェリビダッケとの2頭体制となりました。
ただ、ここで三者の思惑が交錯して、なかなかしっくりいかない不安定な状態だったので48年だったようです。
こんな時のベルリンフィルとのライブですが、そんないざこざは別にしてさすがに素晴らしい演奏です。
フルトヴェングラー シューベルト交響曲第8番“未完成”録音記録
フルトヴェングラーの“未完成”の録音は、5種類残されています。
古い順に以下の並べてみます。
1948年10月24日 ベルリンフィル(ライブ)
1950年1月19日~21日 ウィーンフィル(スタジオ)
1952年2月10日 ベルリンフィル(ライブ)
1953年9月15日 ベルリンフィル(ライブ)
1954年5月4日 ベルリンフィル(ライブ)
僕は、54年のライブのみ残念がら未聴です。
そしてその他の4種類の録音の中で、一番惹かれるのは48年のベルリンフィルとのライブです。
一番フルトヴェングラー的な演奏です。次いで53年盤です。
50年盤は、ウィーンフィルとのスタジオ録音なので一番すっきりしています。
次いで52年盤。
そういうことで、48年と53年のライブ録音が、同じでCDセットに収録されているのが嬉しいです。
このセットは、第2次大戦後、RIAS※に残されたフルトヴェングラーとベルリンフィルの放送録音をリマスターしてCD化したものです。
※RIASは、ドイツ敗戦後、西ベルリンに設立されたアメリカ軍占領地区放送局。RIASは、Radio In the American Sectorの略。
放送局の録音ということで音質がいいのが嬉しいです。
48年盤に関しては、宇野功芳氏のコメントを以下の引用します。
(第一楽章の)展開部はフルトヴェングラーと未完成交響曲との厳しい対決であり、真剣勝負である。これこそ時代の流行を超えた”真実の表現”であり、それゆえに決して古くならない生命力が燃えたぎっている。大きくテンポを落とした、ものものしい終結とともに、聴く者の魂を奪うに充分なものがあろう。
第二楽章はテンポが速く、淡々とした運びの中にあふれるような歌を込めた指揮ぶりである。テンポの微妙な変化はフルトヴェングラーの息づきのように自然だ。
終結部が、音を揺らしながらの終わり方が何か後ろ髪を引かれるような思いに駆り立てられる。この48年盤は聴かずに死ねない名演です。そして53年盤も合わせて行くとフルトヴェングラーの未完成が堪能できます。
フルトヴェングラー シューベルト交響曲第8番“未完成”2種類収録セット
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D. 759
Symphony No. 8 in B Minor, D. 759, “Unfinished” (excerpts)
Ⅰ(11:37)Allegro moderato
Ⅱ(12:02)Andante con moto
TOTAL(23:39)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 24 October 1948, Berlin, Germany
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フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D. 759
Symphony No. 8 in B Minor, D. 759, “Unfinished” (excerpts)
Ⅰ(11:40)Allegro moderato
Ⅱ(11:37)Andante con moto
TOTAL(23:17)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 15 September 1953, Berlin, Germany
Auditeが満を持して放つ フルトヴェングラー・コンプリートRIASレコーディングズ!
RIASに眠っていたオリジナルテープから細心のマスタリングで、今よみがえる真実のフルトヴェングラー!演奏そのものについてはもうなにも付け加えることはない素晴らしいものばかり。戦後のフルトヴェングラーの円熟期、絶頂期の音楽がベルリンフィルとの黄金の組み合わせでたっぷり堪能できる、Auditeにフルヴェン・ファンは足を向けて寝られなくなること疑いなしのセットでございます。 [コメント提供;キングインターナショナル]
まとめ
いくつかの記録を読んでいるとフルトヴェングラーの指揮というのは分かり辛かったようです。日本語で”振ると面食らう”という語呂合わせまであります。
特に未完成を聴いていて、第一楽章の終結部でテンポを落として終わるのですが、手兵ベルリンフィルでも、揃いません。
ただそれをミスと見るよりも音楽の深淵を感じるもので、そこが再現芸術としての音楽の面白さだと思います。
例えば、この部分を同じベルリンフィルでもカラヤンで聴くと、ピタッとあって豊麗な響きをになるのですが、なんかあっさりしているという印象も受けます。
トスカニーニになるともっと顕著で、バシィ、バシィという感じになります。
僕は、やっぱりフルトヴェングラーの終わり方に何か(something else)を感じてしまいます。
フルトヴェングラー CDベスト10 宇野功芳編
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