こんにちは。
ともやんです。
ブラームス作曲、ハイドンの主題による変奏曲が僕は大好きです。
テーマとして提示されているハイドンの主題が非常にチャーミングで、その後の変奏曲のバリエーションも多彩で、どれを聴いていて楽しいし、まさに変奏曲の大家、ブラームスの面目躍如ともいうべき曲だと思います。
またブラームス特有の重苦しさも少ないので、いろんな指揮者の演奏を聴き比べるという楽しさも格別です。
テーマとして使われている主題は、ドイツの「コラール聖アントニー」でハイドンが「オーボエ、ホルン、バスーン、サーペントのための仮装舞踏曲」の第二楽章に用いたものです。
荘重にしてとても愛らしい主題で、ブラームスの手でさまざまな楽器の用法によって変幻極まりない曲趣を描いていきます。
フルトヴェングラーもこの曲の録音は多く残していますが、宇野功芳著「フルトヴェングラーの全名演名盤」によると7種類残されていると記されています。
録音が古いものからだと次の通りです。
①1943年12月12-15 ベルリンフィル(ライブ)
②1943年12月12-23 ウィーンフィル(スタジオ)
③1949年3月30日と4月2日 ウィーンフィル(スタジオ)
④1950年6月20日 ベルリンフィル(ライブ)
⑤1951年10月27日 北ドイツ放送響(ライブ)
⑥1952年1月27日 ウィーンフィル(ライブ)
⑦1954年5月4日 ベルリンフィル(ライブ)
この7種類の内、①③④⑤⑥を僕は聴きました。
①は、ベルリンフィルの定期演奏会の実況録音。もう76年前の録音だが、僕の聴いたCDでは、音は生々しく、逆に観客の咳払いなどもしっかりとらえていてうるさいくらい。
ヨーロッパの聴衆は、出物腫物ところかまわず的で。平気なようです。
さて、演奏も出だしのテーマ提示のオーボエの音からして、雰囲気最高でひとつひとつの変奏ごとに間を開けて演奏しているのは、僕などは分かりやすくいいかな、と思います。
第4変奏のアンダンテが、非常に深く感銘深い演奏です。なにか晩秋の荒涼たる雰囲気で、中高年の僕には、ぐっとくる名演です。
第7変奏が割とあっさりしていてやや物足りないですが、次の第8変奏の明滅する響きの魅力が素敵です。
そしてフィナーレの低弦のもったいぶった入りから堪りません。このフィナーレでは、緩急の幅をもたせフルトヴェングラーらしさが充分に発揮されています。
宇野氏は、録音が古いが惹かれてしまう、と書いていますが、僕は十分鑑賞に堪えられる音質と思います。
③は、スタジオ録音だからか整然とした演奏ですが、全体的に淡白な印象を受けます。ただ第7変奏は逆に①よりはロマンティックで魅力的です。
フィナーレの入りも迫力がいまいちです。ただ録音の音質は①よりは断然良く聴きやすいです。
④は、録音の音質と演奏も含めて一番のおすすめです。フルトヴェングラーのハイドン・バリエーションならこれを聴くべきです。イントロの木管の音がして別の世界に連れていかれたように感じてしまいます。
ベルリンのティタニア・パラストでのライブ録音ですが、終始落ち着いて足が地に着いた演奏で、かと言って随所にフルトヴェングラーならではのドラマがあります。非常にバランスの良い演奏で終始うっとり聴くことが出来ます。
↓
https://amzn.to/35wzILW
⑤は④の演奏スタイルですが、録音も演奏も④超えるものではないので割愛します。
ブラームス: 交響曲第1番ハ短調 Op.68/ハイ ドンの主題による変奏曲 Op.56a<初回限定生産盤>
なお、「フルトヴェングラー グレート・レコーディングズ」でもこの北ドイツ放送響との録音は高く評価しています。
⑥は、ウィーンフィルとのライブで、宇野氏はあまり高く評価していませんが、僕は好きです。
全体に陰影に富んだ演奏で、悲しさと儚さを湛えた雰囲気はたまりません。
52年の録音ですが、すでに晩年の悟ったような演奏でそれを表現するウィーンフィルの響きも魅力的です。
僕が持っているCDは、アルトゥス・レーベル15周年の限定盤で、現在廃盤のようです。
「ウィーンでの演奏会 1944-1954」に収録されています。
なお以上ご案内したCDは、どれもセット物で恐縮です。
やはり一番のおすすめは、④が収録されている「ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – RIAS放送コンプリート・レコーディングス(1947-1954)」です。
1947年5月25日に復帰してからの貴重なライブ録音が放送用として音質のよい状態で残されたもののCD化なので、持っていて損はないと思います。
フルトヴェングラー CDベスト10 宇野功芳編
↑
フルトヴェングラーのおすすめページはこちらです。
コメント