フルトヴェングラー 亡命直前のブラームス 交響曲第1番 第4楽章

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こんにちは、
ともやんです。

4月3日(月)NHKで放送された「映像の世界 バタフライエフェクト『戦争の中の芸術家』」は、よい番組でした。

特に僕は、フルトヴェングラーの指揮姿が映像で観られてことが嬉しかったです。あれだけハッキリとした映像で観られるとは思っていませんでした。なお、NHK+で1週間以内は試聴可能なようですので、ぜひチェックしてみてください。

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フルトヴェングラーのブラームス交響曲第1番

ブラームスの交響曲第1番というと、劇的な内容でもあるので、フルトヴェングラーには、打ってつけの作品であり、また得意としていたようで、9種類の全曲盤が残されています。

またそれ以外に第4楽章だけの録音も残されています。

ところが皮肉なことにこの第4楽章が、凄い素晴らしい演奏なのです。

宇野功芳著『フルトヴェングラーの全名演名盤』でもこの演奏に触れていますが、ブラームスの交響曲第1番は、フルトヴェングラー向きだが、演奏も録音も総合的に良いものがないのが残念という内容を記されていました。

そして、この第4楽章だけ残されているものが演奏も壮絶で録音も悪くないので、全曲が残されていたら、もしかしてフルトヴェングラーのブラームスの第1番の最高傑作になっていたかもしれない、とも記されています。

さて、録音時期が、1945年1月23日というまさにナチス・ドイツ崩壊直前のものということで歴史的にも貴重なものです。

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1945年1月23日のフルトヴェングラー

中川右介著『カラヤンとフルトヴェングラー』によると、フルトヴェングラーは1944年10月と11月にひとりの女医の訪問を受けています。その女医は、ナチスの幹部であるヒムラーの妻の主治医で、患者の夫が何を考えているかという情報を得ていたようです。

それによるとナチスは、どうもフルトヴェングラーの命を狙っていたようです。その女医は、そのことをフルトヴェングラーに知らせにきてくれたわけです。
また同年の12月には、軍需大臣のシュペーアからも亡命を勧められでいました。

そして1945年1月23日。
ベルリンのアドミラル・パラストでベルリン・フィルのコンサートが行われました。

モーツァルトの魔笛序曲から始まり、交響曲第40番の第2楽章の途中で停電になってしまいました。
1時間後に再開され、ブラームスの交響曲第1番で終わりました。今日ご案内するブラームス交響曲第1番第4楽章の録音はこの時ものです。

もしかして、第1楽章から第3楽章までの録音が残っていないのは、停電のせいかもしれません。結果としてフルトヴェングラーにとってベルリン・フィルとは戦時中最後の演奏となりました。

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そして翌日、再び女医の訪問を受け、もう一刻の猶予もなくいつ逮捕されてもおかしくない、ということを伝えられました。

フルトヴェングラーは、翌日ウィーンに向かいました。28日と29日にウィーン・フィルとのコンサートがあるという正当な理由がありました。

結局、2月4日にもベルリン・フィルとのコンサートの予定がありましたが、フルトヴェングラーは、ウィーン・フィルとのコンサート後、スイスへの亡命を敢行したのでした。

そんなことで、1945年1月23日のベルリン・フィルとのブラームス交響曲第1番第4楽章は、戦時中ベルリンで最後に響いたフルトヴェングラー&ベルリン・フィルの演奏だったのです。

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フルトヴェングラー 交響曲第1番 第4楽章 1945.1.23

ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
1.(17:07) 交響曲第1番 ハ短調 Op. 68 – 第4楽章 アダージョ – ピュウ・アンダンテ – アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ
Symphony No. 1 in C Minor, Op. 68: IV. Adagio – Piu andante – Allegro non troppo ma con brio

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 23 January 1945, Berlin, Germany

戦時のフルトヴェングラー II ~ターラ編~

フランスのターラ(TAHRA)社はフルトヴェングラーとも親交のあった大指揮者ヘルマン・シェルヘンの娘ミリアムと仏フルトヴェングラー協会の重鎮ルネ・トレミーヌが1993年に設立したレコード会社。

放送局等のオリジナル音源からフルトヴェングラーの貴重な録音を未亡人(故人)はじめ関係団体の正規承認を受けて、CDに復刻して発売。巨匠の神髄にふれるすばらしい音質に世界中のファンが驚喜しました。

2014年トレミーヌの急逝により、ターラ社は活動を終了してしまいましたが、キングインターナショナルがターラより音源を調達、キング関口台スタジオでデジタル・リマスタリングをおこない、音にいっそう磨きをかけて発売します。

戦時中の巨匠の内奥にまで迫った衝撃の音再現にご注目ください。ブックレットは12ページ(解説:平林直哉)になります。

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