こんにちは、
ともやんです。
本の整理をしていたら平成11年10月20日に出版された『クラシックCDの名盤』という新書版の本が出ていました。
平成11年は1999年。
つまり約22年ちょっと前。
この本は、音楽評論家で指揮者の宇野功芳氏、音楽プロデューサーの中野雄氏、音楽評論家で合唱指揮者の福島章恭氏が、ひとつの作品にそれぞれおすすめのCDを提案し、お互いに意見を戦わせ合うというもので、愛好家には評判になった本だったと思います。
ぱらぱらと捲っていくとベートーヴェンの交響曲第7番に目が止まりました。
今日は、ベートーヴェンの交響曲第7番について記したいと思います。
ベートーヴェン交響曲第7番とクラシックCDの名盤と
僕は、クラシック音楽を聴き始めた中学生の頃から、宇野氏の本や雑誌の文章に親しみ、かなり影響されました。
宇野氏に歯に衣着せぬ評論は、痛快だったので若者の心を掴んだのだと思います。
さて、どちらかというと過激な筆致の宇野氏に対して、中野氏は、泰然とした感があり、どちらかという常識的な推薦盤ながらそこには、必ず魂がある演奏を選び、福島氏は、その意外さと斬新さで、えっ?そんな演奏があったんだとすすめてくるので読んでいてもとても面白い本でした。
さて、ベートーヴェンの交響曲第7番は、中野氏が主文を書いて、それに応えるように宇野氏、福島氏が、自分の主張をするというもので、中野氏が選んだのが、
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの1943年ライブ録音です。
その中で、宇野氏が、ベートーヴェンの交響曲の最高傑作は、第3番・6番・9番と述べているのに対し、自分が、6番の代わりに、5番と7番を加えたい、と記されています。
加えて、もっと頻繁に演奏され、聴かれてもいい曲だとも述べられています。
中野さんご安心ください。
少し古い資料ですが、2018年1月1日から12月31日までコンサートで演奏された回数を調べてみると、第1位が断トツで第九135回。
そして、第2位が第7番の78回、第3位が第5番の60回、以下、第6番49回、第3番32回と続きます。
ただその後、2020年からコロナ禍でコンサート自体が激減していますから、この2018年の資料はむしろ最新に近いかもしれません。
そして個人的見解ですが、第九は12月に季節催事として集中的な演奏されることを考えるともしかして第7番が実質第1位かもしれません。
また第7番は、映画「のだめカンタービレ」や最近から宝くじのテレビCMにも使われていて、現在では、中野氏が望んだ通りの人気作品になっているのです。
フルトヴェングラー&ベルリン・フィル ベートーヴェン交響曲第7番 1943
さて、中野氏の推薦盤は、フルトヴェングラー&ウィーン・フィルとの1950年盤を横に置いてベルリン・フィルとの1943年盤を推しています。
『戦時下のライブ録音で、その異常な気迫は聴く者すべてを戦慄させずにはおかない。後の世に伝えたい魂の記録である。』と記しています。
現在、この録音を聴くことが出来るCDは以下のものがあります。
フルトヴェングラーの、これは名盤?迷盤?
あの「ベートーヴェン交響曲全集」(米オリンピック原盤)
ついにCD化発売!
最初期LPのマスターテープ音質はまさに本物、極上!
1974年9月に米オリンピック・レコードから発売されたフルトヴェングラー史上初の「べートーヴェン交響曲全集」。同年12月に日本のフォノグラムからも国内発売され、世界中のファンを驚愕させました。当時発見されていなかった「第2番」が収録されていたためでもありますが、「サンフランシスコの研究家が秘蔵していた戦前のベルリン・フィルの放送用録音」と解説に書かれていたこの音源、じつはエーリッヒ・クライバーの演奏であることが後年米「ハイ・フィデリティ」誌の調査で判明、この「全集」は再製造されることなく、”幻”の「全集」となりました。
という個人的には名盤です。
このCDに収録第7番が、戦時下の1943年10月31日から11月3日、ベルリンのフィルハーモニーで行われたコンサートのライブ録音なのです。
なお、コンサート・ホールのフィルハーモニーは、このコンサートの約3ヵ月後の1944年1月30日に連合国軍の空襲で破壊され、使用できなくなり戦後解体されました。
そう言う意味でも旧フィルハーモニー末期の貴重な録音と言えます。
ぜひ、聴いて欲しい録音で、特にオケのメンバーは、フルトヴェングラーの棒の下、弾き切っている、吹き切っている、叩き切っているのがわかります。
フルトヴェングラー&ベルリン・フィル 交響曲第7番 1943
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第7番 イ長調 Op. 92
Symphony No. 7 in A Major, Op. 92
1.(12:36) I. Poco sostenuto – Vivace
2.(09:43) II. Allegretto
3.(08:21) III. Presto, assai meno presto
4.(06:35) IV. Allegro con brio
total(37:15)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 31 October 1943
往年のファンならだれでも知っているフルトヴェングラーレコード史上最大の事件となったこの「全集」、「2番」以外の曲は音源・音質ともに”まとも”で、『捨て置けぬLP』と、平林直哉氏は著『フルトヴェングラーを追って』(青弓社2014年刊)のなかで、3ページを割いて大きく紹介しています。
1974年に制作されたこの「全集」のマスターテープの所在をつきとめ、96kHz24bitでデジタル変換された音を入手しました。世界初出LPとなった「1番」「3番」「5番」「6番」、2番目のLP登場となった「8番」「9番」、戦前の壮絶名演ライヴとして有名な「4番」「7番」の全8曲。最初期LPのマスターテープ音質はステレオ・リバーブ感をもたせた、非常に雰囲気豊かなしっかりした音!ほとんど「整音」していないだけに、音の真実味が増しています。
この音源をキング関口台スタジオでリマスタリング、一部の曲には修復を行い(「3番」「9番」のピッチ見直し、「7番」第4楽章冒頭欠落和音の補てん)、エーリッヒ・クライバー指揮の「2番」はボーナストラックとして組み込み、オリジナルのカプリングによる「全集」で発売!国内製造で、フルトヴェングラーファン垂涎の貴重な「名盤」を蘇らせます。
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