こんにちは、
ともやんです。
クラシック音楽の名物評論家、宇野功芳さんが亡くなって5年が経ちました。
そこで現在宇野さんの推薦盤中心にまとめたLP、CDを紹介するサイトを作ることにしました。
そこでトップページに宇野さんが好きだった指揮者9名を集めることにしました。
その宇野さんの名指揮者ベスト・ナインの一人が、ドイツの名指揮者カール・シューリヒト(1880-1967)です。
とりあえず、宇野さんが永遠の名盤と常にブレずに薦めているのが次の3点です。
シューリヒト&パリ・オペラ座管 モーツァルト交響曲第38番「プラハ」
1990年に出版されました『名演奏のクラシック』の中で、
“二流のオーケストラと二流の録音システムにもかかわらず、演奏そのものはたいへん感動的である。風のようにすっと吹きすぎてゆくなかに、千変万化の即興的な表情が移ろう。”
といきなり宇野節。
モーツァルト:交響曲第36番≪リンツ≫≪プラハ≫・第40番≪ジュピター≫ カール・シューリヒト パリ・オペラ座管弦楽団
筆者自身は、モーツァルトの交響曲の中では、この38番「プラハ」が一番好きです。初めて聴いたのは確か叔父の部屋にあったLPレコードを勝手に聴いた時だったと思います。まだ小学生でした。
この「プラハ」の愉悦さとチャーミグな魅力に小学生ながら興味を引かれたと思います。その時のLPの演奏は誰のものか、全く記憶になりません。
でも、モーツァルトの「プラハ」という交響曲は素晴らしいという記憶は刷り込まれていました。
しかし、再び「プラハ」を聴くようになったのは、10数年後の大人になってからです。でも小学生時の感動を蘇られせてくれる演奏にはなかなか出会えませんでした。
そんな時出会ったのがシューリヒト&パリ・オペラ座管の演奏だったのです。
さっと頬を撫でるように吹き去ってゆく風のように、軽やかにして賑やかなのになぜか悲しい。もしかして10歳そこそこで聴いて心に残った演奏と言うのは、シューリヒトのLPだったかもしれません。
宇野功芳は、その著書の中でシューリヒトの「プラハ」に次のように書いています。
“シューリヒトの場合、淡々とした演奏が即興的に行われていくからだ。緻密な優等生的演奏に比べて、その味わいやたたずまいが千変万化し、つねにモーツァルトの移ろいやすい心を伝える。
中略
特に終結部の天国の音楽は、この部分だけ何回でもくり返して聴きたいほどだ。”
シューリヒト&ウィーンフィル ブルックナー交響曲第8番・第9番
こちらは、オーケストラも録音も一流です。
“大自然の叡智の音楽、浄福の音楽、祈りの音楽に、シューリヒトの淡々たる深さがみごとにマッチする。”
ブルックナー: 交響曲第3番、第8番、第9番 カール・シューリヒト ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
宇野さんは、ブルックナーの第8番のアダージョはすべてのCDのなかで、シューリヒトが一番美しいと書いています。
“速いテンポから浄福の音楽を豊かに奏で、滑らかな流れに心からの恍惚と陶酔のときを過ごさせてくれる。”
第九に関してはより高評価で、第一楽章について次のように書いています。
“第一楽章の最初からひびきがブルックナーそのものだ。ホルンによる主題ひとつとっても、朗々たるウィンナ・ホルンの音色とあいまって、ほんとうに眼前にアルプスの威容が現出するかのようであり、それ以上に、なにか別世界に連れ去られる感じがする。”
僕は、シューリヒト&ウィーン・フィルの録音で初めてこの2つの交響曲に素晴らしさを知りました。
コメント