フルトヴェングラー 名盤 チャイコフスキー 悲愴

[広告] 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

こんにちは。
ともやんです。

フルトヴェングラーの演奏は、暗く重く悲劇的で情熱的でもあります。
だからチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」などは、まさにフルトヴェングラーの演奏スタイルにはぴったりの作品だと思います。

しかし、残念ながら残されている録音は、この38年盤と51年4月のカイロでの実況録音盤のみです。
今回は、38年盤を取り上げてみます。

スポンサーリンク

カラヤン ベルリン・フィル デビュー 1938

1938年、ドイツはオーストリアを併合、さらに、ミュンヘン会談によってチェコスロヴァキアの一部であるズデーテンのドイツ併合も決まりました。

こうしてヒトラーの領土拡張の野心は現実のものとなっていき、世界大戦への序章が始まったのです。

さらに、ドイツ国内では11月にユダヤ人が大量虐殺される「水晶の夜」事件が起きました。

ヘルベルト・フォン・カラヤンが、ベルリン・フィルにデビューしたのは、この年1938年4月8日のことでした。

ただ、当時のフルトヴェングラーにとって、カラヤンにはなんの感情もなく、自分の息子ほどの22歳年下の青年音楽家をどうのこうのという判断基準は持っていませんでした。

なにせフルトヴェングラーは、カラヤンの演奏を聴いたことがなかったのです。

ところが、のちにフルトヴェングラー最大のライヴァルとなるカラヤンが、なんとフルトヴェングラーが首席を務めるベルリン・フィルに客演したのです。

スポンサーリンク

フルトヴェングラー ナチスとの闘い

1933年に政権をとったヒトラーのナチスは、1938年の11月にゲッベルスの扇動でドイツ全土で、ユダヤ人の大量虐殺を行っています。

そして翌1939年9月1日に、ドイツ軍はポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まりました。

そんな暗い影が忍び寄る世相で、ドイツ音楽界もナチスの弾圧で、命の危険を覚った多くの音楽家がアメリカなどに亡命しています。

ブルーノ・ワルターも1月31日もアメリカに渡っています。

しかし、フルトヴェングラーは、政治と音楽とは全く別のものという信念から、愛するドイツのために祖国に残り音楽活動を続けました。

そんな中、1938年に新鋭のカラヤンが、初めてベルリン・フィルを振ったのです。

フルトヴェングラーの悲愴が録音された翌年39年には、カラヤンは初めてベルリン・フィルと録音しましたが、その曲目が、チャイコフスキーの悲愴だったのです。

フルトヴェングラーにとっては、カラヤンの挑戦状ともとらえられる選曲です。

この時からフルトヴェングラーが亡くなるまで、二人のベルリン・フィルを巡る権力闘争が続くわけです。

そしてフルトヴェングラーにとって、ナチスとの闘いと共にカラヤンとの戦いも加わりました。

スポンサーリンク

フルトヴェングラー 名盤 チャイコフスキー 悲愴

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー – Pyotr Il’yich Tchaikovsky (1840-1893)
交響曲第6番 ロ短調 「悲愴」 Op. 74
Symphony No. 6 in B Minor, Op. 74, “Pathetique”

1.(20:05) I. Adagio – Allegro non troppo
2.(08:52) II. Allegro con grazia
3.(09:19) III. Allegro molto vivace
4.(10:23) IV. Finale: Adagio lamentoso
total(48:39)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: October – November 1938, Berlin

フルトヴェングラー第1集 チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

第一楽章、展開部から再現部の初めにかけては最も優れた部分で、録音に圭角が乏しいとはいえ、全人類の苦悩を一身に背負ったかのような表現がいかにもフルトヴェングラーらしい。

第二楽章は内心の歌声のような主題の奏し方といい、遅いテンポで粘り気味に表現する中間部といい、さすがに素晴らしい。再現部に向かって、中間主題と主要主題が何回となく交代して現れる部分、ほとんどの指揮者は二つのテーマのテンポを変えて演奏するが、フルトヴェングラーの動きはまことに自然だ。

第三楽章はテンポの動かし方がフルトヴェングラー流だが、コーダの猛烈な追い込みは完全に上滑りしている。

第四楽章はきわめてドイツ風であり、内容的な解釈である。

心からの嘆きを秘めて、しかも自己を厳しく律するような毅然たるひびきが全曲を一貫し、速めに流れつつ、コーダは反対にテンポを解き放し、チャイコフスキーの絶望を切々と訴えてゆく。「フルトヴェングラーの全名演名盤」宇野功芳著より

フルトヴェングラー CDベスト10 宇野功芳編

フルトヴェングラーのおすすめ記事です!

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました