こんにちは、
ともやんです。
ワルターとクレンペラーは、指揮者として駆け出しの頃、共にマーラーに世話になりまた影響を受けました。
ただ、この二人の芸風を比べると全く別で、むしろ対極にいるように思います。
分かりやすいところでは、ワルターは温かく優しく優美さがあるのですが、情に流されきらいがあり、構成的な弱さを感じます。
一方のクレンペラーは、重厚で、堅固な構成力に圧倒されますが、逆に武骨で無愛想でぶっきら棒に感じることもあります。
どちらが良い、悪いではなく、あくまでそれだけ芸術の幅というか奥深さだと思います。
ワルターのステレオ録音では、初めてにブルックナーは、そんなことを考えさせてくれる不思議な演奏です。
重厚で淡々と展開する演奏ですが、一聴クレンペラーを連想させられる点もあります。ただいまひとつ厳しさがないというか、確信に迫っていないと感じさせられた演奏です。
ブルーノ・ワルター ブルックナー交響曲第9番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第9番 ニ短調 WAB 109 (1894年初稿・オーレル版)
Symphony No. 9 in D Minor, WAB 109 (original 1894 version, ed. A. Orel)
1.(23:56) I. Feierlich, misterioso
2.(11:33) II. Scherzo: Bewegt; lebhaft – Trio: Schnell, Scherzo da capo
3.(23:20) III. Adagio: Langsam, feierlich
total(58:49)
コロンビア交響楽団 – Columbia Symphony Orchestra
ブルーノ・ワルター – Bruno Walter (指揮)
録音: 1959年11月16日、18日
ブルックナー:交響曲第9番 ワーグナー:ジークフリート牧歌 ブルーノ・ワルター コロンビア交響楽団
交響曲第9番は第4番と並び、ワルターが最晩年にいたるまで演奏会で取り上げていたブルックナーの交響曲。この録音はワルターがロサンゼルス・フィルでこの曲を取り上げた3日後に、演奏に参加した楽員で組織されたコロンビア響で行われました。
生涯6度目の録音となった「ジークフリート牧歌」での慈愛溢れる演奏も見事。
ソニー・ミュージック
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