こんにちは、
ともやんです。
今年は、20世紀前半に活躍した名指揮者ブルーノ・ワルター(1876-1962)の没後60年の年で、この記事を書いている今日2022年2月17日は、まさに没後60年の命日にあたります。
このブログでは、7人の巨匠指揮者の録音を聴いて僕自身の感じたことや知ったことを書いています。
7人の指揮者は、19世紀生まれで、誰も一度も来日していません。
つまり日本国に国内にいた場合、残念ながら録音でしかその演奏に接することが出来ませんでした。
ただ、7人に指揮者に対して個人的な感情はそれぞれ違います。
もっとも畏敬の念を起こさせるのはクレンペラーです。
まさに仰ぎ見るヨーロッパの古くて立派な石作りの教会を思わせます。
そしてトスカニーニ、シューリヒト、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュに関しても、近寄りがたいオーラを感じるのです。
その中で唯一親しみを感じるのがワルターです。
それはその演奏から非常に僕にも感じることが出来る人間味が伝わってくるからです。
特に戦前の演奏を聴いていると、一般人もしそうな失敗もするんだなと急速に親しみを感じることがあります。
例えば、先月投稿した、ワルター ドヴォルザーク交響曲第8番のトンデモ演奏は、1947年にニューヨーク・フィルを振ったライブでしたが、もう70歳を超えた大指揮者なのになにを慌ててるのという感じで、急速に親しみを感じてしまいました。
フルトヴェングラーにもそんな所があるのですが、なにか深刻さが常に付きまとい、ワルターのような微笑ましさがないのです。
そういうことで僕はワルターの演奏には、常に癒されているのかもしれません。
名指揮者ワルターの名盤駄盤に載ってない名盤
現在上映している映画『大怪獣のあとしまつ』の三木聡監督の映画で『図鑑に載ってない虫』という作品があります。
その虫のエキスを接種すると仮死体験が出来るという幻の虫を探し求めるというコメディです。
僕が資料としてよく使っている宇野功芳氏の名著『名指揮者ワルターの名盤駄盤』は1923年から最後の録音までのほぼ全録音を取り上げて宇野氏がコメントしてる本です。
ところが今回聴いた1950年にバイエルン国立管を振った「未完成」と「巨人」は載っていないのです。
本が出たのが1995年で、CDがオルフェオから出たのが2002年。
当然、宇野氏はCDは聴いたとは思いますが、本を出すときには、CDの音源は確認できなかったと思われます。
だかた非常に貴重な録音だと思います。
演奏は、未完成は、58年のニューヨーク・フィルとのセッション録音の後に聴いたので、テンポは速めながら緊張感溢れる演奏です。
巨人の方は、よりライブ感のある演奏で、終楽章の盛り上がりはライブならではの高揚感があります。
ぜひ、聴いて欲しい
ワルター バイエルン国立管 シューベルト「未完成」マーラー「巨人」
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D. 759
Symphony No. 8 in B Minor, D. 759, “Unfinished”
1.(10:30) I. Allegro moderato
2.(13:05) II. Andante con moto
バイエルン国立管弦楽団 – Bavarian State Orchestra
ブルーノ・ワルター – Bruno Walter (指揮)
録音: 02 October 1950, Live recording, Kongresssaal des Deutschen Museums, Munich, Germany
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グスタフ・マーラー – Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
Symphony No. 1 in D Major, “Titan”
3.(12:03) I. Langsam, schleppend
4.(06:15) II. Kraftig bewegt, doch nicht zu schnell
5.(11:18) III. Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
6.(18:56) IV. Sturmisch bewegt
total(48:32)
バイエルン国立管弦楽団 – Bavarian State Orchestra
ブルーノ・ワルター – Bruno Walter (指揮)
録音: 02 October 1950, Live recording, Kongresssaal des Deutschen Museums, Munich, Germany
シューベルト: 交響曲第8番《未完成》マーラー 交響曲第1番《巨人》 ブルーノ・ワルター バイエルン国立管弦楽団
ワルターは、1913年から1922年までミュンヘンのバイエルン国立歌劇場の監督として充実した音楽活動をおこなっていました。
その後、活動の拠点をウィーンに移し、戦争によってアメリカに亡命。戦後、故郷ベルリンやウィーンは何度か訪れているにもかかわらず、ミュンヘンはこの1950年の一度きりだったとか。
そうした意味では大変貴重な録音ですし、演奏の方も、手術前の元気なワルターのマーラーならではの激しいものとなっています。
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