こんにちは、
ともやんです。
ワルターの録音と言うと、コンサートの実演から離れて、レコード会社が用意したコロンビア交響楽団との一連のステレオ録音による演奏を多く聴いてきた身としては、端正でチャーミングな演奏をする指揮者というイメージがあります。
そしてどちらかと言うと脂気が抜けきった精進料理のような味わいと言えなくもありません。
そんな印象を持っていて、この1956年のニューヨークフィルとのモーツァルトのレクイエムをライブを聴くと、その綺麗ごとでない生々しさに驚きます。
これがあのワルター?
ワルターも仙人ではありません。
煩悩の塊のような時代もあったのです。もしかしてこの1956年はワルター80歳になった年ですが、最後の炎の燃えていた時かもしれません。
ブルーノ・ワルター モーツァルト レクイエム NYフィル
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
レクイエム ニ短調 K. 626
Requiem in D Minor, K. 626
total(53:30)
作詞 : ミサ典礼文 – Mass Text
イルムガルト・ゼーフリート – Irmgard Seefried (ソプラノ)
ジェニー・トゥーレル – Jennie Tourel (メゾ・ソプラノ)
レオポルド・シモノー – Leopold Simoneau (テノール)
ウィリアム・ウォーフィールド – William Warfield (バリトン)
ウェストミンスター合唱団 – Westminster Choir
ニューヨーク・フィルハーモニック – New York Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター – Bruno Walter (指揮)
録音: 10-12 March 1956, Carnegie Hall, New York
モーツァルト レクイエム ニ短調 K.626 ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィルハーモニック
宇野功芳氏の名著『名指揮者ワルターの名盤駄盤』では、モーツァルト的なスタイルを無視して、音楽そのものを彫り深く描きつくした演奏だ、と書かれています。
まさに、その生々しい演奏は、ワルターの魂の演奏と言えます。復刻を手掛けた盤鬼こと平林直哉氏は、次のようにコメントしています。
モーツァルトの生誕200年を記念して録音されたワルター&ニューヨーク・フィルのモーツァルトの「レクイエム」は、モノラルではありますが、今日もなおこの曲の最も重要な演奏として人気があります。
今回もまた2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用して復刻しましたが、その再生音は全く驚くべきものです。音像は異様なほど前に出て来て、前後、左右、天地の響きの広がりも圧倒的です。
低弦のゴツゴツした音も生々しいほどに聴き取れます。宇野功芳著『名指揮者ワルターの名盤駄盤』(講談社+α文庫/絶版)には「いくぶん生々しさ〈汚さ〉に欠ける不満はあるが」とありますが、おそらく当CDではそうした不満が解消されることでしょう。
また、この録音セッションで撮影された貴重な写真が知られていますが、ほとんどのLP、CDにはこれらが掲載されなくなっています。これではちょっと寂しいので、当解説書ではそれを復活させました。なお、当CDには対訳が付いていません。ご了承下さい。タワーレコード・オンラインショップより
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