こんにちは、
ともやんです。
1971年5月某日、中学2年生になったばかりの僕は、1枚のLPレコードを買いました。
それは、ヴィリヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるベートーヴェン作曲の交響曲第3番「英雄」
この曲は、たしかN響のテレビ番組で第1楽章の開始部分から少しだけ聴いて、カッコいい曲だなと感じていました。
ではなんでフルトヴェングラーだったのか?
なんでフルトヴェングラーのLPを買ったのか?
ではなぜ「英雄」のレコードをフルトヴェングラーで買ったのか?もう今から50年以上前のことではっきりと憶えていません。
ただその時点でフルトヴェングラーの名前は知っていたのは確かです。
しかもこのLPは、人生でやっと2枚目だったのです。
このLPを買う数ヵ月前、カラヤン指揮フィルハーモニア管で、ベートーヴェンの「運命」とチャイコフスキーの「悲愴」がカップリングされているLPを買いました。
これが人生最初のLPの購入でした。
多分のそのジャケットの解説にフルトヴェングラーの名前が出ていたのでしょう。
それで「英雄」のLPを買うのにフルトヴェングラーを選んだと思います。
しかし、この選択が僕の人生を豊かにしてくれました。
フルトヴェングラーの「英雄」の録音は、10種類前後あると言われていますが、その中でももっとも凄絶な演奏と言われている第二次世界大戦下の1944年12月のものだったのです。
「英雄」が完成したのは1804年のこと。まだハイドンが健在の時期でこれだけ革新的な作品を作ったのですから凄いですが、構成的にはまだまだ古典的な佇まいでした。
しかし、フルトヴェングラーの演奏は緩急をつけてメリハリのある情熱的な演奏で、その後出会ったどんな演奏と比べてももっとも魅力的な演奏だったのです。
しかし、どうも音が良くない。
最初安っぽいプレイヤーのせいかと思っていました。
でもやはり録音自体が悪いとわかり、後にワルター指揮コロンビア響のLPを改めて買ったほどです。
平林直哉氏制作 フルトヴェングラーの「英雄」
盤鬼とも言われている音楽評論家で自らもヒストリカル復刻物中心とする復刻盤の制作を手掛けるGRAND SLAMレーベルを運営しています。
その平林氏が手掛ける「英雄」が、今年10月にリリースされました。
僕は、平林氏の復刻で1951年録音のバイロイトの第九を持っているのでその素晴らしい復刻は認識しています。
復刻した1952年11月26-27日録音は、EMIの正規スタジオ録音で、フルトヴェングラーの「英雄」の中でも屈指の名演とされているものです。
ぜひ、平林氏の復刻によるフルトヴェングラーの「英雄」を聴いてみてください。
フルトヴェングラー ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」1952
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
1.(16:08) I. Allegro con brio
2.(17:20) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(06:31) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(12:17) IV. Finale: Allegro molto
total(52:16)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音:1952年11月26&27日 ムジークフェラインザール(ウィーン)
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」(ウィーン・フィル/フルトヴェングラー)
《制作者より》
もはや説明不要の名盤、VPOとのベートーヴェン「英雄」。2トラック、38センチ、オープンリール・テープによる復刻盤を一度GS-2158(2017年)で発売しましたが、その際は標準的なテープにコピーされたものを簡易に再生してマスタリングしたものでした。それでも大好評でまたたく間に完売してしまいました。しかし、今回はその時に使用したテープを使い回さず、高品質のテープにプリントしたものを新たに取り寄せ、それを録音スタジオに持ち込み、全行程をプロ用の機器でマスタリングを行いました。
結果は全く驚くべきもので、時間とお金をかけた甲斐がありました。同様の方法で残るベートーヴェンの交響曲第1番、第4番、第5番、第6番「田園」、第7番も準備中です。ご期待下さい。また、解説書もそれぞれ大幅に改訂しております。(平林直哉)2022/10/03にタワーレコードに掲載
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