こんにちは、
ともやんです。
凄い音源を見つけました。
1955年と66年にオットー・クレンペラーが、ハンブルクの北ドイツ放送交響楽団に客演した時のライブ録音です。
CD3枚に5曲収録されています。
2回の客演にプログラム全てを収録してる記されています。
1回目が、1955年9月28日でプログラムが、
J・S・バッハ 管弦楽組曲
モーツァルト 交響曲第29番
ベートーヴェン 交響曲第7番
2回目が、11年後の1966年5月3日で、
モーツァルト 交響曲第40番
ブルックナー 交響曲第7番
です。残念なのが、55年は仕方ないとしても66年の録音がモノラルなことです。
クレンペラーのライブ録音は、かなり多く出ていますが、60年代のものもモノラルが多いのは残念です。
正規録音ではないのか、予算の関係なのかその辺の事情はわかりませんが、むしろ残されていることに感謝した方がいいのかもしれません。
さて、今回は、前回に続いて1966年の演奏についてコメントします。
クレンペラー 60年代の名演
クレンペラーは、指揮者として活動を始めて若い頃から壮年期に掛けてが、現代音楽も積極的に取り上げ、即物的な音の動きを追求していくリアリストでした。
しかし、ユダヤ系ということもあり、ナチの妨害などを受け渡米。
その後、アメリカでも多少の活躍はありますが、度重なる怪我や病気によりその本領を発揮でず、戦後ヨーロッパに戻ってきます。
60歳も半ばを過ぎ、ヨーロッパでの活躍の場を広げ、また録音では、EMIのプロデューサー、ウォルター・レッグに見出され、フィルハーモニア管弦楽団と多くの録音を残すようになります。
※北ドイツ放送響が本拠地とするハンブルクの風景
最初に北ドイツ放送響に客演した1955年は、クレンペラーの音楽人生でも充実していた頃でしたが、好事魔多しと言うか、58年に今度は就寝中の喫煙が原因で大やけどを負い、1年近く活動できないという災難にありました。
録音を聴いて行くとこの頃からその音楽に深みが増して行ったように感じます。
身体的不自由さからか、テンポは遅くなりスケールは大きくなり、克明な音楽作りには磨きがかかり、曲の真髄に迫る独特な芸風を確立しました。
この北ドイツ放送響との55年と66年のライブを聴くと明らかに違います。
55年の気迫が溢れ、鋭く厳しい表現に対して、66年は、テンポは遅くなり深沈として陰影が濃くなり、深みを増しています。
特のブルックナーの第7番が素晴らしく、第2楽章では、人生の深淵を覗き込むような深みを感じます。
ぜひ、55年の聴き比べてください。
クレンペラー 北ドイツ放送交響楽団 ライブ 66年
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
27:40交響曲第40番 ト短調 K. 550
Symphony No. 40 in G Minor, K. 550
1.(09:06) I. Molto allegro
2.(09:05) II. Andante
3.(04:19) III. Menuetto: Allegretto
4.(05:10) IV. Allegro assai
total(27:40)
北ドイツ放送交響楽団 – North German Radio Symphony Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
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アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第7番 ホ長調 WAB 107 (1885年稿・ノヴァーク版)
Symphony No. 7 in E Major, WAB 107 (1885 version, ed. L. Nowak)
1.(19:45) I. Allegro moderato
2.(21:04) II. Adagio: Sehr feierlich und langsam
3.(09:39) III. Scherzo: Sehr schnell – Trio: Etwas langsamer
4.(13:25) IV. Finale: Bewegt, doch nicht schnell
total(63;53)
北ドイツ放送交響楽団 – North German Radio Symphony Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
Klemperer in Hamburg – Two Complete Concerts with the NDR SO オットー・クレンペラー 、 北ドイツ放送交響楽団
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